研究課題/領域番号 |
15K20980
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
平井 佑樹 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80640945)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教育支援システム / 証明問題 / トリアージ |
研究実績の概要 |
本年度前期では,授業時間内に証明問題解答支援システムを使うことの有効性を検証した.既存文献(Ondaら,2014)に関する研究で得られた試験成績データやアンケート結果を詳細に分析した.開発したシステムに搭載されている「後ろ向き推論支援」に着目して分析した結果,(1)事後テストにおいて満点を取った平均問題数が実験群のほうが多かったことから,開発システムが後ろ向き推論支援をすることが有効であった,(2)実験群の生徒は後ろ向き推論ストラテジーを問題解決にうまく利用していた,(3)生徒が前向き推論ストラテジーと後ろ向き推論ストラテジーを併用しようとすることが,問題解決につながったことが明らかになった.これらの成果をまとめた論文を投稿し,現在,査読が行われている.また,授業時間外で証明問題解答支援システムを使うことの有効性についても検討している(Sanagiら,2016) 本年度後期では,リアルタイム教育支援システムの開発に着手した.まず,本事業で実施する教育支援システム開発に向けて授業の受講生がどの場面で支援を必要としているかについて観察し,また本事業について発表した研究(Hasnineら,2015;Hasnineら,2016;Hiraiら,2015; Ishidaら,2015;Meeklaiら,2015;Meeklaiら,2016;Nguyenら,2015)の結果を総合的に分析した.その結果,(A) システムにおいて一定時間以上操作がない,(B) システムにおいて同じ解答箇所を何度も修正する,(C) システムにおいてそれまで解答した内容に誤りがある,(D) 教師のサポートが欲しいと感じているの4つに相当する場合,支援を必要としている確率が高いことが明らかになった.現在,教育支援システムのプロトタイプを開発しており,今後は上記(A)~(D)が妥当であるか否かを検証する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画で言及した「証明問題解答支援システムを使うことの有効性を検証する」,「どの場面で支援を必要としているか観察する」,「リアルタイム教育支援システムを開発する」について,それぞれ一定の成果がでており,進捗状況に問題はない.
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今後の研究の推進方策 |
28年度の研究実施計画で言及したとおり,今後は開発した教育支援システムの評価実験および有効性を検証する.授業時間内に支援必要度を教師に提示することで,教師が効率よく指導できたか,また受講者が効率よく学習できたか否かを測定する.この結果から緊急度の高い(本当に支援すべき)受講者を優先的に支援できたか否かを明らかにする.また教師の教室内の導線が短くなった,受講者が試験で良い成績を収めた等,教育支援システムがどのように寄与したかについて多面的に評価する. なお,実験やデータ分析を行うときに,実験協力者の同意・協力を必要する場合は,当該協力者の同意を得る等,適切に対応する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年3月15日にイギリスで発表予定だった研究2件(Hasnineら,2016;Meeklaiら,2016)について,研究発表セッションが中止となり,研究代表者らのイギリスへの出張が中止となったため.(なお,これら2件の予稿は出版されている)
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した助成金については当初の計画通り執行する予定である.次年度使用額については,当初計画とは別の会議(国際会議等)への出張経費として執行する.
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