研究課題
本プロジェクトでは、まず、2004年の配偶者特別控除一部廃止の既婚女性の労働供給に対する効果を分析した。その結果、2004年の税制改正は低収入の既婚女性の労働時間と収入を増加させた一方で、税制改正に直接的な影響を受けていない年収103万円以上の既婚女性に関しては、同時期に起こった夫の所得増加傾向を受け、税制改正によって顕著になった予算制約線上の屈曲点(つまり103万円)まで年収を低下させるという非連続な収入下落が見受けられた。結果として、女性の労働供給を増やす目的で導入された税制改正であったが、低所得層における収入増加と中高所得層の103万円への移動が起こり、皮肉にも、歴史的に存在する、日本の既婚女性の収入分布の103万円における「ゆがみ」はより顕著となった。この結果は、"Women’s Labor Supply and Taxation: Analysis of the Current Situation Using Data"という論文として2018年3月にPublic Policy Reviewから出版した。またこの2004年の改正から得た経験をもとに、2018年の配偶者控除の改正に関して予測される賃金分布の変化についても追加的分析を行った。具体的には2004年の時と同様、何か女性の労働供給に対してネガティブなショックが起こった場合、中高所得層が年収分布上で150万円の少し下の部分に収入を非連続的に減らす事象が起こりうることが明らかとなった。この結果は"How the Tax Reform on the Special Exemption for Spouse Affected the Work-Hour Distribution"という論文としてJournal of The Japanese and International Economiesから近日出版される。
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https://sites.google.com/r.hit-u.ac.jp/izumi-yokoyama/