近年、世界的な環境問題に対して、環境配慮型農産物認証制度への注目が高まっている。認証製品への需要は、主に欧米諸国で高まっている一方、日本における市場シェアは極めて限定的である。しかし、日本において普及の阻害要因を厳密に検証した実証研究がないため、その要因は明確ではない。 日本における阻害要因や販売を促進する要因を特定するため、採用期間中に2種類の実験を実施した(それぞれ実験①、②)。実験①では、早稲田大学の学生を対象に視線測定装置(Eye Tracker)を用いた実験を実施し、環境に配慮された製品に付与される認証コーヒーの購入要因の特定を行った。実験の結果は英文論文としてまとめ、早稲田大学高等研究所のワーキングペーパーとして発表し、現在、国際学術誌にて査読過程にある。 また、実験②として、コーヒーを自動販売機で販売する企業の協力を得て、実社会における実験を実施した。具体的には、複数の販売戦略をランダムに割り当て、どのような販売戦略が認証コーヒーの販売や販売機の売上に影響を及ぼすか計測を行った。分析には1万台以上の販売機の販売データを用いた。実験の結果、認証コーヒーの販売に影響を及ぼす要因が明らかになった。実験の結果を現在、論文としてまとめている。 今後、日本において環境に配慮された製品の普及がますます進むと考えられる。そこで、日本におけるエコ製品の普及促進を目的としたセミナーの実施を企画している。現在、JETROおよび認証製品を扱う企業とセミナー実施に向けた協議を行っており、2017年5月に共同セミナーを開催する予定である。
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