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2015 年度 実施状況報告書

成人T細胞白血病細胞に合成致死を誘導するmicroRNAの同定

研究課題

研究課題/領域番号 15K21003
研究機関新潟大学

研究代表者

原 敏文  新潟大学, 医歯学系, 助教 (80456219)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードmiRNA / HTLV-1 / ATL / 合成致死
研究実績の概要

成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染が原因で発症するT細胞性白血病である。ATLは予後が極めて不良であるが、これまで根治治療薬は開発されていない。本研究は、ATLを選択的に致死誘導するmicroRNA(miRNA)を同定し、その作用機構を解明することで、科学的根拠に基づくATL治療法の確立を目指している。
平成27年度の研究実施計画に沿って以下の結果を得た。①正常ヒトT細胞およびHTLV-1の癌タンパクTaxを強制発現したヒトT細胞のmiRNAトランスクリプトームを解析し、T細胞腫瘍化に伴うmiRNAの発現変動を明らかにした。②ゲノムワイドshRNAライブラリーを用いて、Tax発現T細胞株とその親株(Tax非発現細胞)をスクリーニングし、ATL細胞細胞の増殖に関与する遺伝子群を明らかにした。これら遺伝子群を標的として作用するmiRNAをバイオインフォマティクスで予測解析し、ATL細胞の増殖に影響する候補miRNAを選定した。③miRNAの作用レベルをモニターするため、miRNAの相補的配列をルシフェレース遺伝子の3’-UTR領域に挿入したレポーターベクターを作製した。これらレポーターベクターが細胞内で作用することを確認した。④miRNA前駆体のヘアピン構造を含むゲノム領域をクローニングし、miRNA発現レンチウイルスベクターを作製した。これらウイルスをT細胞株に感染させて、細胞内でその発現レベルを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

バイオインフォマティクスを用いた複数の解析結果を統合したことにより、ATL細胞の増殖に影響するmiRNA候補群を高精度に選定できたと考えている。今回作製したレンチウイルスベクターを用いたmiRNA発現系は、リンパ球系細胞では十分なmiRNA発現量が得られない可能性があった。そこで、レンチウイルスベクターの改変およびmiRNA mimicを用いた強制発現系の構築を並行して進めている。

今後の研究の推進方策

平成27年度の成果を基に、成人T細胞白血病に合成致死を誘導するmiRNAの同定を進める。現在候補となっているmiRNAをATL細胞株および非ATL細胞株に発現導入し、細胞増殖に対する影響を調べる。ATL細胞の増殖に影響するmiRNAを明らかにし、その作用分子機構について検討を進める予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Induction of Cell Death in Growing Human T-Cells and Cell Survival in Resting Cells in Response to the Human T-Cell Leukemia Virus Type 1 Tax.2016

    • 著者名/発表者名
      Mizuguchi M, Sasaki Y, Hara T, Higuchi M, Tanaka Y, Funato N, Tanaka N, Fujii M, Nakamura M.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 11 ページ: e0148217

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0148217

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Human T-cell leukemia virus type 1 (HTLV-1) Tax1 oncoprotein but not HTLV-2 Tax2 induces the expression of OX40 ligand by interacting with p52/p100 and RelB.2016

    • 著者名/発表者名
      Motai Y, Takahashi M, Takachi T, Higuchi M, Hara T, Mizuguchi M, Aoyagi Y, Terai S, Tanaka Y, Fujii M
    • 雑誌名

      Virus Genes

      巻: 52(1) ページ: 4-13

    • DOI

      10.1007/s11262-015-1277-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Kruppel-like factor 2 represses transcription of the telomerase catalytic subunit hTERT in human T cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Hara T, Mizuguchi M, Fujii M, Nakamura M.
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 290(14) ページ: 8758-8763

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.610386

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] HTLV-1のTax1はHTLV-2のTax2とは異なる細胞遺伝子の発現をNF-kB2を介して誘導する2015

    • 著者名/発表者名
      藤井雅寛、罇陽介、原敏文、樋口雅也、髙橋雅彦
    • 学会等名
      第2回日本HTLV-1学会学術集会
    • 発表場所
      東京大学医科学研究所 講堂(東京都・港区)
    • 年月日
      2015-08-21 – 2015-08-23
  • [学会発表] miR-126は変異型KRAS細胞を選択的に増殖抑制する2015

    • 著者名/発表者名
      原 敏文、 Ashish Lal
    • 学会等名
      第17回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      ホテルライフォート札幌(北海道・札幌市)
    • 年月日
      2015-07-15 – 2015-07-17

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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