研究課題/領域番号 |
15K21006
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤村 衡至 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90722140)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ポリプテルス / 外鰓 / RNAseq |
研究実績の概要 |
本研究は、古代魚ポリプテルスの外鰓形成の分子機構を明らかにし、咽頭弓のパターニングや肺形成との関係性を調べることによって、脊椎動物の肺の進化的起源や咽頭弓の進化の道筋を実験的に検証することを目的とする。これまでに、ポリプテルスの外鰓形成を実験発生学的に調べ、神経胚期の「表皮外胚葉」の限られた領域が外鰓の形成を誘導する能力があることを明らかにしている。 本年度は、「① RNAseq解析によって、ポリプテルスの外鰓形成に関与する候補遺伝子を選び出す」「② ポリプテルスの外鰓形成と肺形成について組織学的に解析する」ことを計画していた。 ①について、外鰓形成を誘導する遺伝子を特定することを目的として、その「表皮外胚葉」の組織片のRNAseq解析を進めた。RNAseq解析をおこなう上で、まずレファレンスとなるゲノム情報が必要になる。一般的な魚である真骨類のゲノムサイズが1Gb弱であるのに対し、ポリプテルスのゲノムサイズは3倍大きい。参画しているポリプテルスゲノム解読のコンソーシアムでは、ポリプテルスのゲノム塩基配列情報を次世代シークエンサーによって解読し、ゲノム上に存在する全遺伝子を特定している。これらポリプテルスのゲノム情報について、論文発表の準備を進めた。次年度以降、このゲノム情報および遺伝子情報を用い、RNAseq解析によって得られた候補遺伝子について、胚を使って実験的に検証する予定である。 ②については、飼育しているポリプテルスの発育状態が悪く、胚サンプルを取得することができなかったため、進めることができなかった。改善に努め、ようやく胚サンプルを得ることができるようになったため、次年度おこなうこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
使用する胚サンプルは、研究室で繁殖飼育することによって取得する計画である。飼育しているメスのポリプテルスの発育状態が悪く、胚サンプルを取得することができなかった。理由としては、水槽部屋の建物が老朽化しており、水環境が悪かったためであると考えている。年度末に水槽部屋を別建物へ移設し改善を図ったところ、繁殖に成功し、胚サンプルを取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
「① RNAseq解析によって、ポリプテルスの外鰓形成に関与する候補遺伝子を選び出す」に引き続き、 次年度は、得られるようになった胚サンプルを使って、 「② ポリプテルスの外鰓形成と肺形成について組織学的に解析する」「③ 候補遺伝子の発現解析と機能解析をおこない、外鰓形成の分子機構を明らかにする」をおこない、最終的に、 「④ 外鰓形成と、咽頭弓のパターニングや肺形成との関係性を実験的に検証する」 ことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に予算を執行したものの、会計処理が4月に持ち越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
既に執行している。
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