• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

永続的記憶形成における、海馬-大脳皮質記憶保持細胞集団の統合機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K21013
研究機関富山大学

研究代表者

佐野 良威  富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 特命助教 (90415175)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードSystems consolidation / 海馬-大脳皮質
研究実績の概要

[1] 学習後の海馬活動が記憶形成に及ぼす影響を検証。海馬神経細胞の興奮性を人為的に操作するために、Camk2a-hM3Dqレンチウイルス(LV)を作製した。また、TRE-hM3Dq LVを作製し、c-fos tTAトランスジェニック(Tg)マウスと組み合わせることにより、学習時に活動した神経細胞群で特異的にhM3Dq受容体を発現させ、特定の神経細胞群の興奮性を操作する実験系を確立した。これらの実験系を用いて、恐怖条件付け学習後の睡眠時に海馬の神経活動を人為的に上昇させたが、記憶形成の亢進は観察されなかった。
[2] 長期記憶が保存される大脳皮質神経細胞群の特定。Systems consolidation中に、「学習時に活動した大脳皮質の神経細胞群に記憶が保存される」との仮説を検証するため、EnvAをエンベロープとして持ちかつチャネルロドプシン(ChR)を発現するレンチウイルス(ChR EnvA LV)を作製し、c-fos tTA/TRE-TVA Tgマウスと組み合わせることにより、活動した特定の神経細胞群で長期的にChRを発現させることが可能な実験系を確立した。これらの実験系を用いて、恐怖条件付け学習時に活動した大脳皮質の神経細胞群にChRを発現させ、約一ヶ月後にそれらの神経細胞を人為的に活性化さえたところ人工的な記憶の想起が観察された。
[3] 学習後の大脳皮質-海馬神経活動が記憶形成に及ぼす影響を検証。確立した技術を用いて、恐怖条件付け学習時に活動した海馬および大脳皮質の神経細胞群にhM3Dq受容体を発現させた。学習後の安静時にそれらの神経細胞群を同時的に活動させた群において、記憶のgeneralization(systems consolidationの一つの指標となる)が促進していることを観察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験計画通り学習時に活動した神経細胞群の興奮性を学習後に人為的に操作する実験系を確立することができた。一方で、実験計画時の予想と異なり、学習後の海馬活動の記憶形成への関与は本実験系では認められなかった。しかし当初の実験計画よりも早く、学習時に活動した神経細胞を長期的に操作可能な実験系を確立することができ、学習時に活動した大脳皮質の神経細胞群に記憶が保存されることを観察することができた。また、得られた結果を基に仮説を迅速に修正し、systems consolidationにおける海馬-大脳皮質の同時的な神経活動の関与を示唆する結果が得られたことは進歩であると考える。

今後の研究の推進方策

当初の実験計画においては、systems consolidationにおける学習後に起きる海馬の神経細胞群の自立的な活動の役割に着目していたが、初年度に得られた結果を基に海馬だけではなく大脳皮質の神経活動にも着目し解析を進める。これらの神経活動を人為的に操作することにより、systems consolidationにどのような影響を与えるかを検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 生体の科学 67 「記憶痕跡とメモリーアロケーション」2016

    • 著者名/発表者名
      佐野 良威、大川 宜昭、鈴木 章円、井ノ口 馨
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      医学書院

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi