バイカル集水域にあるフブスグル湖堆積物コアのウラン濃度分布は、氷期-間氷期に対応して変化することが認められている。堆積物のウランは湖内における鉄酸化物への吸着を起源とするため、ウラン吸着量の変化は気候変動に伴う湖内の水質変化を反映すると考えられる。本研究では室内実験により鉄酸化物によるウラン吸着メカニズムを室内実験から検討し、堆積物に認められるウラン濃度の変動をもたらす要因は湖水のpHであることを明らかにした。また本研究で構築したウラン吸着予測モデルを堆積物中のウラン濃度変動に適用した結果、堆積物中にウランが著しく枯渇する氷期では、フブスグル湖のpHは9.5を超えていたことが推測された。
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