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2015 年度 実施状況報告書

半導体液体プロセスにおける微視的濡れ性制御:計算科学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 15K21023
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

本郷 研太  北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (60405040)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード第一原理計算 / 量子拡散モンテカルロ法 / シミュレーション / 半導体 / 液体プロセス / 濡れ性 / ハマカー定数
研究実績の概要

平成27年度は、ハマカー定数の第一原理算出スキームを開発し、ハマカー定数を入力パラメータとする現象論的濡れ性シミュレーションを実施するための研究基盤を確立することができた。具体的には、アモルファスシリコン半導体製造の液体プロセスに用いられるシクロヘキサシランを対象として、分子間力評価に信頼性の高い第一原理量子拡散モンテカルロ法を用いて、その二量体結合曲線を計算し、その遠方での漸近曲線からハマカー定数を算出した。当該分子系における実験参照値は存在しないため、ハマカー定数既知の類似化合物から内挿評価した結果と比較したところ、妥当な結果を与えていることが分かった。また、本提案手法の拡散モンテカルロ法と同じように、分子間力評価に信頼性の高い量子化学計算手法として知られているCCSD(T)法を用いてハマカー定数を評価したところ、両者の結果は非常に良く一致することが分かった。しかしながら、CCSD(T)法に比べて、本提案手法の方が、計算コストや計算手順などの点で優位性を持つことが示された。平成27年度は、これらの結果を関連学会にて発表した。また、平成28年度での原著論文出版を目指して、結果をとりまとめている。
本研究課題は、上記のような階層的シミュレーションによる濡れ性の制御可能性を検証するだけではなく、固体表面と溶質分子クラスターとの相互作用を解析して、ナノスケールでの濡れ性現象を解明することで、濡れ性制御の可能性を多角的に検証する。平成27年度は、上記スキーム開発に加えて、シリカ表面へのシクロヘキサシラン分子クラスターの吸着現象について、吸着構造のモデリング、及び、予備的計算を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度は、研究計画の構想段階で、ハマカー定数算出スキーム開発(研究課題1)の進捗状況に応じて、可能であれば、現象論的濡れ性シミュレーションの実施(研究課題2)に取り組む予定であったが、研究課題1の完了が四半期程度遅れたため、結果的に、研究課題2を平成28年度に実施するように、研究計画を変更した。この計画変更は想定の範囲内で、平成28年度に計画していた研究課題の実施に支障を支障を来すことはない。研究課題1では、構想段階で予想していた困難とは異なる事由で遅延が生じたが、分子科学的に興味深い分子間相互作用の解析結果を発見することに繋がり、研究計画の構想とは異なる形ではあるものの、本研究課題の目的達成に十分適合した、ハマカー定数の算出スキームを確立できた。ハマカー定数の第一原理算出スキーム自体、方法論提案としての新規性があり、また、当該分子系の分子間力に関する分子科学的知見も得られたため、一旦、濡れ性ミュレーションとは切り離して、研究課題1の成果を原著論文としてまとめることができた。

今後の研究の推進方策

平成28年度は、平成27年度に実施した「研究課題1/ハマカー定数の第一原理算定スキームの開発」によって得られた、シクロヘキサシランのハマカー定数が得られたことから、当初の研究計画に従い、当該定数を入力とする、「研究課題2/現象論的濡れ性シミュレーションの実施」に取り組む。それと平行して、平成27年度実施の「研究課題3/シリカ表面へのシクロヘキサシラン分子クラスター吸着によるナノスケール濡れ性現象の解明」に取り組む。これら3研究課題を各種化合物半導体の場合に拡張する、「研究課題4/Ge6H12/Si3C3H12/Ga3N3H12分子系への適用」に取り組み、結果を取りまとめて原著論文とし、また関連学会にて学会発表を行う。研究課題4は、3研究課題の実施で研究基盤が既に確立されているため、研究業務自体はほぼ定形作業となる。そのため、研究補助員を雇用して研究加速を図る。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度の旅費残額については、当初、参加を予定していた国際学会が主催者側の都合でキャンセルとなったことに起因して、1回分の海外出張旅費を繰越しすることにした。これに呼応して、学会参加費も繰越しすることにした。平成27年度の人件費残額は、本研究課題の実施で第4四半期に生じることが見込まれた定形作業を遂行するために、研究補助員の雇用を計画していたが、委託業務が当初の計画よりも四半期分遅れたため、実際に当該業務が発生する時期での利用のために繰越を行った。

次年度使用額の使用計画

平成27年度繰越の旅費は、平成28年度において、本研究課題で得られた研究成果に関連して、当初の計画では計上していなかった、国際学会(米国ラスベガス10月開催)での招待講演依頼があったため、その旅費に充当する。平成27年度繰越の人件費は、平成28年度第1四半期での人件費雇用と合算して、平成28年度前半期に研究補助員を雇用し、研究加速に繋げる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] "第一原理量子モンテカルロ法による大規模電子状態計算"2016

    • 著者名/発表者名
      本郷研太
    • 学会等名
      「第一回JAIST-ISMシンポジウムーシミュレーション科学とデータ科学の協働」
    • 発表場所
      JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)/石川県能美市
    • 年月日
      2016-01-27
    • 招待講演
  • [学会発表] "QMC high performance computing of molecular interactions"2015

    • 著者名/発表者名
      Kenta Hongo and Ryo Maezono
    • 学会等名
      Pacifichem 2015
    • 発表場所
      Honolulu, Hawaii, USA
    • 年月日
      2015-12-15 – 2015-12-20
    • 国際学会
  • [学会発表] "分子間相互作用の量子モンテカルロ法シミュレーション"2015

    • 著者名/発表者名
      本郷研太、前園涼
    • 学会等名
      第9回分子科学討論会2015東京
    • 発表場所
      東京工業大学/東京都目黒区
    • 年月日
      2015-09-16 – 2015-09-19

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公開日: 2017-01-06  

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