研究実績の概要 |
本課題には、(A) エージェント構造と信念変化の相互作用の形式化, (B) 不確実性下の信念・知識の論理, (C) 情報伝達行為の証明論的研究, の3つの課題が存在した。特に (B) と (C) について本年度の研究実績の概要を説明する。(B)に関しては、2018年7月にアムステルダム大学で開催された inquisitive logic workshop において、inquisitive logic の発想を直観主義論理に持ち込んだ Ciardelli らの intuitionistic inquisitive logic がもつフレーム定義可能性の特徴づけについての研究発表を行った。 以下では(C)の成果を順に説明する。中山大学論理認知研究所を訪問し、馬明輝教授と条件付き信念(φの条件の下でψを信じる)の証明論と弱い否定(ドモルガン則にのみ従う否定)をもつ様相論理の証明論の二つについて研究討論・論文執筆を行った。条件付き信念についての執筆論文は国際ワークショップのICLA 2019 に採択された。弱い否定(ドモルガン則にのみ従う否定)をもつ様相論理の証明論については論文執筆をおおよそ終え、現在投稿準備中である。また、関係変化演算子をもつ選好論理(van Benthem and Liu による)について、モデル書き換えではない仕方で意味論を与え、その意味論的完全性を示した。この結果は東京理科大学の秦野亮助教との共同研究として Asian Workshop on Philosophical Logic 2018 に採択され発表を行った。最後に、Seligman らによる Epistemic Logic of Friendship の証明体系に関する論文の拡張版を国際会議LORI6のpost-proceedings に投稿した。
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