研究課題/領域番号 |
15K21032
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
松尾 英明 福井大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (60529387)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経頭蓋直流電気刺激 |
研究実績の概要 |
平成27年度では、神経障害性疼痛患者での有効性を確認するために、pilot studyにより刺激方法と痛みの定量的評価の評価方法など実験手法の確立に従事した。 健常者に対して両側一次運動野に電極を設置し、陽極刺激(anodal-tDCS)、陰極刺激(cathodal-tDCS)およびsham刺激を実施した。anodal-tDCS、cathodal-tDCSは1mAの強度で20分間実施した。感覚機能評価として、Von Frey monofilamentsを使用し、触覚閾値を求めた。最小電流閾値の評価には、Pain Vision PS-2100を使用した。その結果、anodal-tDCSで触覚閾値と最小電流閾値の低下とcathodal-tDCSで触覚閾値と最小閾値電流の増加を認め、tDCSにより感覚機能が変化する事が確認できた。 神経障害性疼痛患者の痛みをPain Vision PS-2100で評価した研究は少なく、どの程度正確に評価できるか不明であったため、熱傷後の複合性局所疼痛症候群患者に対してPain Vision PS-211の痛み度および痛み対応電流で日内および日間の疼痛の推移を繰り返し評価した。その結果、本人の自覚的痛み強度(Visual Analog Scale:VAS)と痛み度および痛み対応電流は概ね同様の推移を示し、痛みの変化を把握できる事が確認できた。 これまでの研究は、神経障害性疼痛患者に対するtDCSを実施する上で有用なpilot studyであり、神経障害性疼痛患者の痛みや痺れはPain Vision PS-2100の痛み度や痛み対応電流を評価することで把握可能である事、さらに感覚機能の評価も同時にした方がtDCSの有効性を検討する上で有用な情報が得られると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度はすぐに神経障害性疼痛患者を対象にtDCSの効果を検証する予定であったが、刺激方法および評価方法の習熟と再現性および正確性を確保するために、網羅的文献検索および健常者や神経障害性疼痛患者を対象としたpilot studyが必要と考え、当初の予定に先立って実施した。そのため、当初の研究計画とやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、神経障害性疼痛患者に対してPain Vision PS-2100を用いた疼痛評価とpilot studyで必要と思われた感覚機能評価を追加して当研究を進める予定である。 また、当研究課題と類似した研究の情報を収集するために関連する学術大会に積極的に発表参加し、評価方法の見直し、刺激方法の見直しを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の消耗品等購入する。
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