本研究では、移動ロボットに搭載したカメラからの視覚情報を利用した移動ロボット群の故障検出および耐故障隊列制御法の開発を目的とする。故障検出および耐故障制御を実現することで、移動ロボット群の制御性能の劣化の抑制や実環境に対するロバスト性の向上が期待できる。本研究ではカメラからの画像情報に基づいた移動ロボットの認識・推定アルゴリズムを開発し、人物追従制御および複数台移動ロボットの隊列制御に適用し、実験による検証を行った。移動ロボットの認識アルゴリズムにはパーティクルフィルタを導入した。そこでは色不変量を導入し、照明変化の影響に対する追跡対象の認識のロバスト性を向上させた。さらに移動ロボットに備え付けられているソナーセンサを融合した推定アルゴリズムを開発した。これを人物追従制御および複数台移動ロボットの隊列制御に適用した。制御にはパーティクルフィルタにより得られた情報をもとに画像ベースド制御を実現した。隊列制御の実験では、移動ロボット3台によるライン形状の隊列を形成させ、先頭のロボットをオペレータにより操縦し、他のロボットがそれに追従するように制御した。実験では提案手法により、良好な追従特性と追従対象の誤認識の低減を示した。しかしながら複数台移動ロボットの隊列制御において、搭載したカメラでは認識できる範囲が小さく、このため隊列可能な形状が制限されてしまうことがわかった。移動ロボットのカメラに広角・魚眼レンズを取り付け、視認できる範囲を広げ、提案手法を改良する。さらに故障推定アルゴリズムを融合していく予定である。
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