渦相関法は大気―地表面間の熱・ガス交換を測定する標準的な方法であるが,地表面熱収支が閉じない問題が残されており,交換量データの精度の不確実な部分となっている.本研究では,大気境界層内の低周波輸送に注目し,それの渦相関法測定への影響を明らかにすることを目的とした.渦相関法で測定される顕熱と潜熱交換量を地表面交換量と非地表面起因の低周波輸送に分離する方法を開発し,非地表面起因の低周波輸送の特性を調べた.その結果,大気境界層が急速に発達し,エントレインメントが強い午前中に,低周波輸送の寄与が大きくなっており,大気境界層上部での現象が地表面での渦相関法の観測に影響を与えていることが示された.
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