ミトコンドリアの機能維持においてγ-tubulinが果たす役割を明らかにする目的で、神経系に特異的に発現しているTUBG2遺伝子の機能解析を進めた。 TUBG2によるミトコンドリア機能維持のメカニズムを明らかにするために、TUBG2の細胞内動態をイメージング解析した。通常、細胞内に発現させたTUBG2は微小管形成中心および細胞質に分散している状態であるが、分化誘導したNeuro2a細胞の一部でミトコンドリアへの局在を認めた。この局在変化にミトコンドリアへのストレス負荷の必要性を疑い、脱共役剤で処理した細胞を観察したところTUBG2がミトコンドリアに積極的に局在していた。マイトファジー誘導時のミトコンドリアの切断に必要な可能性が高いため、脱共役剤処理条件下での結合タンパク質をプロテオミクス解析している。 TUBG2欠損マウス脳の電気生理的実験で得られていた抑制性制御の低下について、GABAの変化をより直接的に確認するため、質量顕微鏡法においてアミノ酸を組織上で誘導体化して検出する方法を用いてGABA自体のイメージングを行ない解析している。またin vivoのミトコンドリア形態を超解像顕微鏡で解析している。またノックアウトマウス神経でATP低下していることから、ATP補給を狙ってマウスにピルビン酸を与えたところ、運動能力の一部に改善を認めた。 今年度は研究計画最終年度であるため、これまでの結果をまとめて論文を執筆し、国際学術誌に投稿する準備を進めている。
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