微分方程式は, 世の中の様々な現象を分析するための重要な数学的概念である。とりわけ、二階の偏微分方程式は、波動方程式(双曲型)、熱方程式(放物型)、ラプラス方程式(楕円型)をはじめとして、数理物理学や工学における種々の重要なモデル現象を典型例に持つクラスで、伝統的に研究されてきた。一方で三階の偏微分方程式は、KdV方程式といった方程式(可積分系)などが断片的に発見されているものの、基礎付けの観点からしてもまだ不十分に思えたため、特に幾何学的な観点からこの方面の研究を遂行した。結果、幾何学的枠組みを明確に与え、いくつかの基礎的な特徴づけやその背後にある構造を明らかにすることが出来た。
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