研究課題/領域番号 |
15K21059
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中野 智則 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70738369)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 運動機能再建 / 感覚再建 / 神経細胞移植 |
研究実績の概要 |
遊離神経片を脱神経筋に縫合し、ここへ胎児脊髄前角細胞を移植して骨格筋再建を行った。細胞移植部位である遊離神経片内には神経細胞・グリア細胞などによって結節性構造が作られており、電気刺激による再建筋の収縮も良好であることから、結節性構造は中枢神経系に類似した異所性神経節であると考えられた。この神経節をより詳細に評価するため、電子顕微鏡による観察を行った。神経内には神経細胞体と無数の有髄軸索が認められ、軸索走行は神経内中央と辺縁では異なっていた。髄鞘も厚みの異なる2種類が観察され、移植細胞に含まれる中枢神経由来のものと、移植床である末梢神経由来のものが混在した状況が示唆された。また、工学部教室の協力のもと、神経刺激に用いる小型刺激電極の開発に取り組んだ。実験動物のラット大腿部に絶縁コーティングした金箔電極を埋め込み、背部から出した導線によって体外からの刺激を行うことができた。 移植細胞を胎児脊髄後根神経節由来の感覚神経細胞とする感覚再建にも取り組んでいる。骨格筋の制御について、正常個体では筋の伸長をモニタリングする筋紡錘からのフィードバックを介して筋収縮が制御されている。中枢との連続性を断った神経内に感覚神経細胞を移植し、筋紡錘と表在神経の再生を免疫組織学的に評価した。surgical controlと比べ、3~6か月の時点では軸索の再生が確認できた。骨格筋内の筋紡錘の数自体が少ないが、今後は機能評価・定量的評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植細胞によって作成された異所性神経節の評価は順調に進んでおり、感覚神経細胞移植を組み合わせた再建にも取り組んでいる。再建筋の運動解析と制御プログラミングについては実験が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
移植モデル作成と組織学的評価を継続するとともに、電気刺激に用いる電極の改良と刺激方法の検討を行っていく。運動神経細胞移植モデルでは組織学的にはかなり評価出てきており、今後は感覚神経細胞を用いた評価を主に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験用機材購入を行わず、主に実験動物と消耗品の購入になったため。組織学的評価に力を入れたために、設備としての機材を必要とせず、次年度使用額が発生することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
ラットモデルの追加作成と組織学的評価をさらに行っていく。運動機能評価について必要な機材・周辺物品の購入をする。
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