研究課題/領域番号 |
15K21060
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加茂前 健 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60706282)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 患者模擬ファントム / 3次元造形 |
研究実績の概要 |
本年度は、X線CT画像より解剖学的形態情報を抽出し、線量測定機器が挿入可能な前処理を加え、患者個別の模擬ファントムを造形する一連のシステム開発を行った。さらに、システム一連の造形精度をX線CTを用いて評価し、現状のシステムの課題を明確なものとした。 1. 副鼻腔および咽頭の空気層、骨、軟部組織が再現された頭頸部ファントムを作成し、基礎実験が可能な環境を整備した。頭頸部ファントムをX線CT撮影し、電子密度が異なる空気層、骨、軟部組織に分割した3次元構造データを作成するシステムを開発した。3次元プリンタの汎用フォーマットであるStereo-lithography (STL) 形式への変換処理および電子密度が異なる各領域に対する造形材料の割当が可能なシステム設計とした。 2. 汎用型のFused deposition modeling (FDM) 方式3次元プリンタを用い、患者模擬ファントムの造形試験を実施した。一連のシステムにおける造形精度を評価するため、造形された患者模擬ファントムをX線CTで撮像した結果、造形前データと比較し、0.5-2%程度の縮小傾向が確認された。 3. 患者模擬ファントムに線量計を挿入し測定を行うため、X線フィルムおよびガラス線量計の基本的な測定環境を構築した。 以上より、X線CT画像を基に、撮影対象を3次元プリンタで造形するシステムの基盤を構築し、投与線量検証の患者個別化に向けたシステム開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった、CT画像を基にして患者の解剖学的形態を模擬したファントムを3次元造形し、投与線量検証が行えるシステムの開発が進んでおり、さらにそのシステム一連の基礎的な造形精度を評価することで、現状の課題を明らかにした。また、線量評価に用いるX線フィルムおよびガラス線量計線量検証システムの使用環境整備が整い、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度明らかとした造形精度に関して、精度向上のための検討を行う。具体的な対策として、造形前データにおけるスケーリング係数の適応、および造形パラメータの最適化を行う。患者の臓器別に線量誤差を定量評価可能なソフトウェアを開発し、従来の簡易矩形ファントムを用いた手法と本研究で開発した新しい手法について、モンテカルロ・シミュレーションと実測実験により詳細に有用性と問題点を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、消耗品費として計上していたポリマーゲル線量計材料の購入を、研究の進捗から判断し次年度に先送りしたことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度購入予定であったポリマーゲル線量計材料の購入を行う。
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