研究課題
本研究は,ジェスチャーの産出による発話の促進効果について,単語検索の促進機能と情報の組織化のいずれか,あるいは双方であるのかについてと,その神経機構を明らかにすることを目的としている。さらに,本研究では、ジェスチャーの産出に対して,ジェスチャーの産出頻度の個人差,ジェスチャーが自発的に産出されたか,強制的に産出されたかという自発性,言語差が与える影響も加えて検討することを目的としている。研究一年目の本年度は、実験で実施する課題の制定を実施した。本研究では、ジェスチャー産出の促進効果を3種類の観点から検証するために、これらの観点に個別に対応した3種類の課題を新たに制定することが求められる。第一の課題は、ジェスチャーによる単語検索の促進効果を検討する短文翻訳課題である。第二の課題は、ジェスチャーによる情報の組織化の促進効果について検討する場面説明課題である。第三の課題は、自然な状態におけるジェスチャー産出頻度の個人差を検討するアニメーション伝達課題である。短文翻訳課題は、刺激材料として、高等学校までの英語教育で用いられる単語を当該授業の教科書から、頻度、親近性、語長等を考慮して選択する手続を実施し、制定した。また、場面説明課題では、これまでにジェスチャー研究で用いられており、かつ、ジェスチャーの産出頻度が高い場面を選出し、先行研究で得られた発話データを利用して、制定した。アニメーション伝達課題は、先行研究の課題を踏襲し、制定した。
2: おおむね順調に進展している
研究1年目であり、かつ、当年度の初頭に研究代表者が研究機関を移動したことがあり、本研究で実施する研究課題の制定に時間を要したが、実験課題の制定は、本研究課題の最も重要な点であるために、おおむね研究は順調に進んだと言える。
今後は、研究計画に従い、日本語母語話者と英語母語話者に加えて,中国語母語話者に実験参加を求め,母語と第二言語の違いによるジェスチャーの発話促進効果の違いを検討し、さらには、その脳活動をNIRSによる計測によって明らかにしていく。
実験参加者に対する謝金、データ分析者に対する謝金を本年度は用いなかったために、次年度使用額が生じた。
今後は、心理実験と脳活動計測実験を順次開始していくために、次年度使用額は、これらの実験に協力する実験参加者と、実験で取得したデータを分析する実験協力者に対する謝金として使用する計画である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件)
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