研究課題
本研究の目的は,発話に伴う手や腕の動きであるジェスチャーが発話に与える促進的な機能について明らかにし,その神経機構を解明することにある。具体的には,ジェスチャーの産出による発話の促進効果について,単語検索の促進機能と情報の組織化のいずれか,あるいは双方であるのかについてと,その神経機構について検証する。平成29年度においては,近赤外分光法を用いた実験を実施する準備として,次の二種類の課題の改良を進めた。第一の課題は,単語検索の促進効果については,呈示された母語の短文を,指定された形式の第二言語の文に翻訳することで,単語検索が,情報の組み立てよりも求められる短文翻訳課題である。日本語を母語として,英語を第二言語とする二言語併用者を対象とした短文翻訳課題を制定するために必要な単語と構文の精度を高めるために,高等学校での主たる英語教科書で使用されている単語と構文についてデータベースの構築を進めた。この単語と構文のデータベースを利用することで,課題の刺激材料となる単語と構文を効率的かつ諸条件を統制して制定することが可能となる。第二の課題は,示された物語の一場面について,指定された単語を用いて第二言語で説明することで,情報の組織化が単語検索よりも求められる場面説明課題である。本課題の精度を高めるために,上記の単語と構文のデータベースと,先行研究で確認されている英語を第二言語とする日本語母語話者が使用していた単語と構文を参照し,比較することを進めた。
3: やや遅れている
本研究課題では,NIRS装置を利用した脳活動計測実験を実施する予定である。しかし,当該の年度では装置をレンタルすることができず,脳活動計測実験を実施することができなかった。
今後は,改良した二種類の課題を利用して,脳活動計測実験を改めて実施する予定である。
当該年度にNIRS装置をレンタルして実験を実施する予定であったが,装置をレンタルできなかったために,そのレンタル料と実験参加者への謝金が次年度使用額となった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)
PLOS ONE
巻: 12 ページ: e0183818
doi.org/10.1371/journal.pone.0183818
Research and Practice in Technology Enhanced Learning
巻: 12 ページ: 1-17
doi.org/10.1186/s41039-017-0053-9