研究課題
本研究の目的は,ジェスチャーによる発話の促進効果とその神経機構について検討することにあった。本研究は,非均衡型の二言語併用者では,第二言語の発話において発話負荷が高いことに注目し,発話負荷の高い第二言語におけるジェスチャーの産出が発話の促進に関連するかを,脳活動計測と共に実施する認知心理実験によって検証した。本研究では,前年度までに,ジェスチャーが発話を促進する効果が,「単語検索の促進」と「情報の組織化」のいずれか,または双方であるのかを検証するために,「短文翻訳課題」と「場面説明課題」の作成と改良を進めてきた。本年度において,申請者は,過去に実施したジェスチャー実験のデータと,昨年度までに作成した「短文翻訳課題」と「場面説明課題」を利用したパイロット実験の結果に基づき,これらの2課題に基づいて,条件間の行動データと生理データの比較により優れる課題として,「単語検索条件」と「文章組み立て条件」が設定可能である場面説明課題へと改良した。その後,この改良した場面説明課題を,日本語を母語として英語を第二言語とする非均衡型の二言語併用者30名を対象に,近赤外分光法(NIRS: Near-Infrared Spectroscopy)装置での脳活動計測と共に実施した。また,本課題では,ジェスチャーの自発性が発話促進効果に与える影響を検証するために,ジェスチャーを自発的に実施する条件と,教示によりジェスチャーを強制的に実施する条件を導入した。本実験結果は,現在分析中であり,その成果は国際会議と国際誌において報告する予定である。
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International Journal of Human?Computer Interaction
巻: 35 ページ: 313~322
10.1080/10447318.2018.1543077