本研究は胎生期の脳に豊富に存在するコンドロイチン硫酸(CS)プロテオグリカンが神経細胞の移動と極性形成を制御する細胞外環境を作り出すという仮説のもとに行った。その結果、 マウス胎仔の大脳皮質においては、脳室帯と中間帯に4-硫酸化CSが局在しており、4-硫酸化CSの低下によって神経細胞が皮質板まで到達できず中間帯に留まることが分かった。神経細胞移動に必要な4-硫酸化CSの担体となるプロテオグリカンはneurocanであり、neurocanを含む細胞外マトリクス分子複合体は双極性神経細胞の先導突起周辺に集積して、神経細胞の移動と極性形成に必要な細胞外環境を形成することが示された。
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