研究課題
本研究では全自動1細胞解析単離装置を用いたタイムラプス解析向けに、特に1)細胞への侵襲性の検定、2)新灌流系を用いた新たな匂い分子のORスクリーニング、3)目的細胞検出の更なる高感度化を行った。1)CHO細胞をモデルに用いて1細胞からの増殖試験を行った。詳細には抗体分泌CHO細胞1個が分泌する抗体を個々の細胞周辺に非侵襲的に固定化してFIA方式で定量検出する系(CS-FIA、木田ら、Anal. Chem. 85, 1753-9(2013))を用い、全自動1細胞解析単離装置を用いて陽性細胞を1細胞ずつ単離して増殖させた。結果、45個の細胞から37個(82%)の増殖が確認できた。これにより嗅覚細胞への低侵襲性が示唆され、ORスクリーニング成功率の1つの要素となると考えられた。2)新作の解析エリアを広げたORスクリーニングを実施した。匂い分子に加齢臭の成分であるnonenal(30、300 μM)を用いて嗅細胞群を刺激した。アッセイした約10,000細胞の内nonenalに反応した細胞は71個(nonenal 両濃度でのアッセイ総計)と検出され、内反応の良い細胞11個を回収し1細胞RT-PCRに供した。3個についてPCRに成功し、解析の結果OlfR156、262、877が同定された。3)新しい低バックグラウンドのマイクロチャンバーアレイチップを開発するべく、基板(ガラス、テンパックス、石英)上にSU8光硬化樹脂を塗布し、18 ~ 20 μmの深さでウェルをパターンニングした。全自動1細胞解析単離装置を用いて5、50、100 msecの露光時間で樹脂を塗布した基板の自家蛍光を観察したところ、いずれもRFU(0 ~ 255)< 10を示し、現行のPSスライド(RFU = 30程度)より低い値を示した。これは新作チップの方が低バックグラウンドであり、相対的に感度が改善されることを示す。
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