研究課題/領域番号 |
15K21069
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 勇和 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (40745147)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経路検索システム / 道路ネットワーク / 確率的なストリームデータ |
研究実績の概要 |
平成28年度における大きな研究成果として,(1)経路検索システムのプロトタイプの公開,(2)車両軌跡データを用いた道路ネットワーク補間技術の提案,および(3)確率的なストリームデータのマッチング技術の提案である.(1)経路検索システムのプロトタイプの公開は,昨年度開発した始点から複数のPoint-of-Interestを経由する経路を探索する技術をベースに,スマートシティの一つであるSmartSantanderから収集されたデータを用いてシステムを開発した. 次に,(2)車両軌跡データを用いた道路ネットワーク補間技術では,車両のGPSデータを元に道路データから欠損している道路を検出および補間する.GPSデータは正確な位置情報ではなく,位置の誤差を含むデータであるため,まず車両がどの道路上を走行中であるかを計算する.この際,データ上に存在していない道路を走行中という観点を導入することにより,欠損している可能性がある道路を検出することが出来る.欠損の可能性がある道路を走行中の軌跡データをクラスタリング,軌跡の合成を行うことにより道路ネットワークの高精度な補間を達成した. 最後に,(3)確率的なストリームデータのマッチング技術は,ある事象の発生に確率がある場合に最も指定したパターンが発生している可能性が高い区間を求める技術である.例えば,ある人が「歩く70%,走る20%, 立ち止まる10%」のようなデータが連続してあるときに,10分歩いてから30分走っている区間を求めることができる.従来の技術では,それぞれのパターンの確率値を独立に計算していたが,本提案技術は区間が重複しているところをグループ化することでより高精度に区間を推定することができる. (2), (3)は曖昧なデータを用いた研究であり,本研究の当初の目的とは異なる.実データを分析することにより得られた知見を元に提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の目標の一つは国際会議への採択であったが,実現できなかったため,やや遅れていると判断した.技術の開発においては順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はまず経路検索技術の国際会議採択が大きな目標である.その後,技術を発展させ論文誌に投稿する予定である. また,曖昧グラフにおける到達可能性に関する研究を実施する.具体的には,複数の節点間の連結確率を効率的に問合せるためのアルゴリズムを開発する.曖昧グラフにおける連結確率は計算量の削減は非常に難しいため,精度保証付きの近似解を計算する.また,索引技術を導入することで,より効率的な問合せを実現する.
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次年度使用額が生じた理由 |
予算はほぼ額的には予定通りに使用している.一方で,デスクトップPCの購入や予定していなかった書籍の購入等で物品費が大きくなっている.また,国際会議が採択された場合を考慮して使用していなかった旅費が大きく残っている.また,人件費に関してもデータ作成等の依頼に用いる予定であったが,実施できなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては,大きな変更点は無いが,交付の内訳を適宜変更して予定外の出費に柔軟に対応する.
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