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2015 年度 実施状況報告書

高信頼遠隔制御のための制御と通信のクロスレイヤ設計・最適化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K21071
研究機関名古屋大学

研究代表者

小林 健太郎  名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (40583878)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード制御通信 / 無線制御 / 情報圧縮 / 誤り訂正 / クロスレイヤ設計 / 統合最適化
研究実績の概要

本研究では,高信頼な遠隔制御を実現するための通信技術を実現することを目的とし,制御と通信の両方の理論に基いたクロスレイヤ設計・最適化に取り組んできた.特に,制御レイヤの情報に基づいて下位の通信レイヤの性能向上を図る手法の検討を進めてきた.具体的には,情報圧縮と誤り訂正のサブテーマ(1)(2)を並行して検討を進め,以下の研究成果を得た.
(1) 制御情報の重要度を指標にした情報圧縮
まず,従来の情報圧縮(情報の出現頻度のみに基づく符号化)を用いた制御システムの評価を行った.その結果,従来の情報圧縮では,制御に重要な情報であっても出現頻度が少なければ長い符号語に割り当てられてしまい,これが原因となって,制御遅延と通信路誤りが増大し,制御品質が劣化してしまうことを明らかにした.これに基づき,符号長を制御情報の重要度の一つの指標として考え,より効率的な情報圧縮手法を考案した.提案手法では,制御にとって重要度の低い情報と重要度の高い情報に分割して符号を再構成することで,制御品質の劣化を抑えつつ,高い圧縮率も得られる情報圧縮を実現した.これらについて,国際会議1件,国内研究会2件の発表実績がある.
(2) 制御情報の重要度を指標にした誤り訂正
従来の誤り訂正(通信路の情報のみに基づく符号化)を制御システムに適用すると,強い誤り訂正符号を用いれば通信誤りを大きく減せることで制御の誤差が小さくなるが,一方,その分冗長により遅延が生じることで制御の誤差が大きくなるというトレードオフがある.これに基づき,制御情報の重要度の指標として目標値との誤差を考え,より効率的な情報圧縮手法を考案した.提案手法では,制御の誤差を予測し,誤り訂正符号の強さを切り替えることで,通信路誤りに強く,高い制御品質も得られる誤り訂正を実現した.これらについて,論文誌1件,国内研究会3件の発表実績がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成26年度の実施計画としてあげた,従来型の情報圧縮(情報の出現頻度のみに基づく符号化)や従来型の誤り訂正(通信路の情報のみに基づく符号化)の性能評価や制御の重要度の指標の検討を終え,平成27年度の検討予定であった制御情報の重要度に基づくアルゴリズムの構築並びに性能評価をすでに進めている.

今後の研究の推進方策

平成26年度の検討結果を踏まえ,制御情報の重要度に基づく情報圧縮と誤り訂正のアルゴリズム構築並びに性能評価を更に進めてゆく.本研究は,通信方式と制御方式の両面からのアプローチが可能であるため,遂行状況によっては検討順番を入れ替えて柔軟に進めてゆく.また,本研究課題で得られた研究成果は,電子情報通信学会,計測自動制御学会,IEEEの各研究会・国際会議等を通じて公表し,通信と制御の両分野の研究者の意見を取り入れ研究を進展させていく.また,得られた研究成果をまとめ,学会論文誌へ投稿し,成果を公表していく.

次年度使用額が生じた理由

論文誌の超過ページ代および別刷代の予算として計上していたが,請求時期が3月時点で未確定であったため次年度の予算として支払うこととしたため.

次年度使用額の使用計画

上記理由にあげた論文誌の超過ページ代および別刷代として利用する.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] ON-OFF Error Control Coding Scheme for Minimizing Tracking Error in Wireless Feedback Control Systems2015

    • 著者名/発表者名
      S. Hattori, K. Kobayashi, H. Okada, M. Katayama
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Industrial Informatics

      巻: vol.11, no.6 ページ: pp.1411-1421

    • DOI

      10.1109/TII.2015.2489185

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 無線フィードバック制御における状態量の推定誤差を最小とする通信路誤り訂正方式に関する一検討2016

    • 著者名/発表者名
      三輪洋祐,小林健太郎,岡田啓,片山正昭
    • 学会等名
      電子情報通信学会 総合大会, A-17-1, p.234
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-18
  • [学会発表] [ポスター講演]無線フィードバック制御システムにおける制御情報の重要度を考慮したハフマン符号化手法の一検討2015

    • 著者名/発表者名
      永田篤史,小林健太郎,岡田啓,片山正昭
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, RCC2015-50, pp.55-60
    • 発表場所
      沖縄産業支援センター
    • 年月日
      2015-12-17 – 2015-12-17
  • [学会発表] A note on the performance evaluation of wireless feedback control systems with Huffman coding under data-rate constraints2015

    • 著者名/発表者名
      A. Nagata, K. Kobayashi, H. Okada, M. Katayama
    • 学会等名
      International Symposium on EcoTopia Science 2015 (ISETS '15)
    • 発表場所
      名古屋大学東山キャンパス
    • 年月日
      2015-11-28 – 2015-11-28
    • 国際学会
  • [学会発表] 無線フィードバック制御における状態情報の可変長誤り訂正符号化に関する一検討2015

    • 著者名/発表者名
      三輪洋祐,小林健太郎,岡田啓,片山正昭
    • 学会等名
      電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会, K1-1
    • 発表場所
      名古屋工業大学
    • 年月日
      2015-09-28 – 2015-09-28
  • [学会発表] [招待講演]高信頼遠隔制御のための制御と通信のクロスレイヤ設計に関する研究動向2015

    • 著者名/発表者名
      小林健太郎
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, RCC2015-37, pp.111-118
    • 発表場所
      JA長野県ビル
    • 年月日
      2015-07-30 – 2015-07-30
    • 招待講演
  • [学会発表] ハフマン符号を適用した無線フィードバック制御システムのデータレート制限下における性能評価2015

    • 著者名/発表者名
      永田篤史,小林健太郎,岡田啓,片山正昭
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, RCC2015-18, pp.7-11
    • 発表場所
      JA長野県ビル
    • 年月日
      2015-07-29 – 2015-07-29

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公開日: 2017-01-06  

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