研究課題
本研究では,高信頼な遠隔制御を実現するための通信技術を実現することを目的とし,制御と通信の両方の理論に基いたクロスレイヤ設計・最適化に取り組んできた.特に,制御レイヤの情報に基づいて下位の通信レイヤの性能向上を図る手法の検討を進めてきた.前年度までに取り組んできた2つのサブテーマ((1)制御情報の重要度を指標にした情報圧縮,(2)制御情報の重要度を指標にした誤り訂正)で培った情報圧縮と誤り訂正の理論・方式を統合して検討を進め,以下の研究成果を得た.制御の予測理論を利用して制御誤差の予測値を指標とし,情報圧縮と通信路誤り訂正符号化を組み合わせる手法を提案した.提案手法では,制御誤差が最も小さくなるようにどの制御情報をどの符号化率で送るのかを通信の状況に応じて適応的に切り替えることで,送信するデータ量を増やすことなく通信路誤りを大きく低減でき,高い制御品質を達成した.これついて,学会雑誌論文1件,国際会議1件,国内研究会2件の発表実績がある.また,制御の予測理論を利用して制御誤差の予測値を指標とし,受信した制御信号の通信路誤りを最小化する信号判定手法を提案した.提案手法では,予測した制御誤差を利用して通信路誤りを含んだ受信信号から最も確からしい制御信号を判定することで通信路誤りを低減するだけでなく,信号判定後に含まれうる通信路誤りの影響を制御誤差の予測にも反映させることで高い制御品質を達成した.これついて,学会雑誌論文1件,国際会議1件の発表実績がある.
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
IEEE Transactions on Communications
巻: vol.66, no.1 ページ: 320-329
10.1109/TCOMM.2017.2751472
電子情報通信学会論文誌
巻: vol.J100-A, no.7 ページ: 259-267