研究課題/領域番号 |
15K21074
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
酒井 貴庸 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特任助教 (50744108)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 高等学校 / 発達障害 / 研修 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,高等学校における特別支援教育を推進の一環として,発達障害(傾向)のある生徒(以下,発達障害生徒)に関わる教職員を対象とした研修プログラムの開発を試みることである。 教職員が学内において発達障害生徒に適切に支援や配慮をするためには,知識や技能が必要である。これまでの発達障害生徒に関わる教師を対象とした研修に関する研究(例えば,Probst & Leppert, 2008; Jones & Chornis-Tuscano, 2008)においては,教師のストレスの減少や教師効力感の促進されることが報告されている。酒井ら(2010)の研究においても,発達障害の一つである自閉スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder : ASD)の傾向をもつ高校生に関わる教師において,ASDの障害特性に関する知識と応用行動分析(Applied Behavior Analysis : ABA)の知識が,心理的ストレス反応や教師効力感と関連していることが示唆された。これまでの研究で示された結果は横断的なもの,もしくは研修会前後の極めて短期的な効果の検討であったこと,発達障害のなかでもASDや注意欠如多動性障害(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)といった単一の発達障害に関する研究であったこと,などの課題が残されている。 そこで,本研究ではASD,ADHD,学習障害を含め,研修プログラムを構成し,その効果について縦断的に検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研修プログラムの受講前後に用いる重要な測定指標である、ADHD(注意欠如多動性障害)の障害特性に関する知識尺度およびLD(学習障害)の障害特性に関する知識尺度の開発に必要なデータの収集及び分析は終了した。 研修プログラムの構成要素の一部である,e-learningコンテンツの開発を行っているが,その内容はフィールドワークや調査に基づいて開発を進めているため,当初の予定よりも時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
ADHD(注意欠如多動性障害)の障害特性に関する知識尺度、LD(学習障害)の障害特性に関する知識尺度の解析および項目の精査を継続して遂行する。そして、既に完成しているASD(自閉スペクトラム障害)の障害特性に関する知識尺度の項目と併用し、研修受講者(教師・教職課程科目履修学生)のADHD、LD、ASDの障害特性に関する知識を研修会前後で測定し,障害特性に関する知識の程度(知識度)の変化を測定すると同時に,心理的ストレス反応や教師効力感(現職の教職員のみ)の変化を検討し,より現職の教職員に有用な研修の内容を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に実施を予定していた教職員対象の調査および介入が,先方都合により中止となってしまったため,実施校の選定から次年度へ繰り越すこととなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に調査および介入実施校が決定次第,調査および介入を実施する。その際に調査用紙および研修テキストの印刷,調査データ入力,研究協力に対する謝礼,対象校への交通費,成果の発表に際しての論文投稿,学会出張費が主な支出内容となる。
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