研究実績の概要 |
本年度は以下の研究を行った。 1.Lethbridge大学のKharaghani氏とFender氏との共同研究で、複素アダマール行列の研究を行った。ここで構成した例は、Compton, Craigen, de Launeyによる非実6乗根アダマール行列の一般化となっており、最大なexcessを持つことおよびあるアソシエーションスキームの隣接代数に含まれることが示された。 2. 複数個のアダマール行列に対して定義された不偏性が本研究の中心的な話題であった。Kharaghani氏との共同研究で、アダマール行列の一般化である直交デザインに対して不偏性の概念を導入した。この概念の導入により、これまで独立に考察されていた様々な行列に対する不偏性を統一的に扱うことに成功した。特に、Seberryによる直交デザインに基づくasymptoticなアダマール行列の構成の手法を応用することで、従来知られていない不偏性を持つ例の構成が得られた。 3. アダマール行列は最大な行列式を持つ成分が1,-1の行列として知られている。Nanyang Technological UniversityのGreaves氏との共同研究で、(アダマール行列を含む)最大な行列式を持つ成分が1,-1の行列の特徴付けを、その主小行列の固有多項式で行った。 以上の結果が国際雑誌から出版された。 研究期間全体では、アダマール行列およびその一般化に付随する組合せ構造の研究を行った。特に直交ラテン方陣を応用したアソシエーションスキームの構成と様々なクラスのアソシエーションスキームの特徴付けに進展が見られた。
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