研究課題
本研究では、廃プラスチックやポリスチレン・ポリエチレンを原料にし、化学気相合成(CVD)法による大粒径グラフェンの合成について研究を行った。大気圧でのアニール処理により銅や合金触媒の酸化物層を作製し、大粒径グラフェンの成長について実験をした。大気圧アニール処理による銅箔の表面への影響について、電子後方散乱回折(EBSD)やX 線回折(XPS)分析により評価をした。アルゴン(Ar)と水素(H2)のアニーリングにより核形成を制御でき、ポリスチレンを原料としたCVD法により大粒径グラフェンの合成に成功した。光学顕微鏡や電子顕微鏡により評価し、800μm以上の大粒径グラフェンが合成されたことを確認した。同じ方法により、廃ポリスチレンを原料とし、600~800μm大粒径グラフェンが形成された。また、本CVD法により、廃プラスチック以外の廃棄物(waste chicken fat)も原料とし、高品質なグラフェンが合成できることが分かってきた。このようなプロセスにより合成されたグラフェン膜で透明電極を作製し、透過率90%でシート抵抗120Ω/Sqが達成された。最新の実験結果では、ポリスチレンを原料としたCVD法により、銅基板上に1.6mm以上の大粒径グラフェンの合成も確認されている。また、ポリスチレンやポリエチレンを固体原料に用いたCVD法により大粒径グラフェンの等方性や異方性の成長について明らかにした。本CVD法により、 300~400μmの丸い形の粒径グラフェンを合成し、欠陥の少ない高品質グラフェン膜の合成に成功した。これらの研究結果により、廃プラスチックや固体炭素源を用いたCVD法によるmm級の巨大粒径グラフェンの合成とそれを用いた連続グラフェン膜の作製について明らかになった。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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