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2015 年度 実施状況報告書

カテコラミン誘発多形性心室頻拍患者より検出した新規TRPM4遺伝子異常の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K21082
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

服部 哲久  滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80638932)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード遺伝子 / チャネル / 不整脈
研究実績の概要

カテコラミン誘発多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia、CPVT)は、交感神経緊張時に2方向性もしくは多形性心室頻拍が誘発され、心室細動に移行し、失神や突然死の原因となる致死的な疾患であり、特に小児期の突然死の原因として重要な疾患の1つである。CPVTと診断された患者の遺伝子解析より、TRPM4遺伝子異常を検出し、同遺伝子異常によるTRPM4電流の変化について研究した。
症例は、5歳男児で、涕泣した際に多形性心室頻拍を認められ、遺伝子解析の結果、TRPM4遺伝子異常を検出された。TRPM4チャネルは6回膜貫通型であるが、患者より検出された遺伝子異常は第6番目の膜貫通領域に存在する。
まず、他の研究施設よりTRPM4のプラスミドを入手し、ミュータジェネシスを施行し、CPVT患者より検出したTRPM4変異遺伝子のプラスミドを作成した。次に、Human Embryonic Kidney cell (HEK 細胞) にTRPM4のプラスミドをトランスフェクションし、TRPM4チャネルを発現させ、ホールセル・パッチクランプ法にを用いた電気生理学的機能解析により、TRPM4電流を観察した。その結果、変異遺伝子のヘテロ、ホモ強制発現系のいずれにおいても、正常TRPM4と比較してTRPM4電流量の減少を認められ、この変異遺伝子はdominant negative効果を示すと考えられた。
この結果について学会発表を準備しており、この電流変化のメカニズム、表現系への影響について解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TRPM4のプラスミドを入手し、ミュータジェネシスによる変異プラスミドを作成できた。その後、ホールセル・パッチクランプ法にてTRPM4電流を記録できており、TRPM4遺伝子変異において電流変化を認め、CPVTの原因となっている可能性が考えられた。その原因解明や薬剤での変化など、検討を進めており、おおむね順調と考えられた。
また、患者と患者の家族より、患者由来iPS細胞樹立について同意を得られていないため、疾患特異的iPSを用いた研究は不可能であった。

今後の研究の推進方策

ホールセル・パッチクランプ法での解析により、TRPM4遺伝子変異によりTRPM4電流の減少を認めた。その原因として、TRPM4チャネルのコンダクタンスの低下や、細胞内カルシウムイオンに対する感受性の低下などが考えられたため、ホールセル・パッチクランプ法と同様に、HEK細胞にTRPM4のプラスミドをトランスフェクションし、インサイド-アウト・パッチクランプ法を用いることにより、そのメカニズムの解明を計画している。また、CPVT患者においてTRPM4遺伝子異常を検出したため、TRPM4電流のカテコラミンによる影響を評価する必要があると判断し、TRPM4の正常、もしくは、変異遺伝子を強制発現させたHEK細胞を用いて、イソプロテレノールによるTRPM4電流変化を検討する予定である。
疾患特異的iPS細胞由来心筋細胞を用いた研究が不可能であったため、シミュレーションを用いて、TRPM4電流変化による表現系への影響を評価できないか検討している。

次年度使用額が生じた理由

患者由来の疾患特異的iPS細胞を樹立し、心筋細胞に分化誘導し、解析することを予定していたが、患者や家族の同意が得られず、その研究ができなくなったため、未使用額か生じたと考えられる。

次年度使用額の使用計画

細胞膜へのチャネルの発現量の検討、細胞培養、パッチクランプに用いる試薬など物品費への使用を予定している。また、成果発表のための旅費、論文関連費用(英語校閲費、
投稿料、別刷り代)として用いることも予定している。

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公開日: 2017-01-06  

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