研究課題/領域番号 |
15K21085
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 崇士 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572224)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光生体計測 / 光コヒーレント断層法 / 脳循環代謝 / 神経代謝カップリング / 脳血管障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、光コヒーレンス断層法を用いて、光信号から生体内部構造・温度分布や血流速度を3次元画像化することのできる「光3次元脳循環代謝イメージング法」を実現し、脳機能定量評価と脳病態評価に応用する技術を確立することである。 今年度は、開発予定のイメージング法の評価指標である脳温度と脳血流の関係を詳細に調べるため、ラットを用いた基礎実験を実施した。脳表面の脳温度および脳血流は、我々がすでに開発した、赤外温度カメラとレーザースペックル血流計を組み合わせた方法「光脳循環代謝イメージング法」を用いて評価した。また、その実験に先立って、光脳循環代謝イメージングシステムの改良をおこなった。脳温度変化は非常に小さく、測定には環境条件(主に気温、気流)をできる限り一定にすることが重要であることから、テストセクションおよびカメラ部分全体を覆うことのできるチャンバを作成した。その結果、実験環境の気温、気流の影響を制御することに成功した。ラットの脳温度および脳血流の制御は、Zueら(J Comp Physiol B, 2009)の方法を参考にして、血流や代謝に影響を与える麻酔薬を投与することで実現し、それらの時間変化を観察した。脳温度および脳血流は、麻酔薬導入に伴い、低下、減少したが、それぞれの時間変化は完全には相関していないことが明らかとなった。この結果は、ニューロバスキュラーカップリングを解明することにおいても、重要な手がかりになることが期待されるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
詳細な脳温度計測のため、実験装置周辺の環境条件をできるだけ定常状態にする必要があり、光脳循環代謝イメージング装置の改良をおこなった。その結果、環境条件の脳温度計測への影響を減らすことに成功した。これは期待した以上の効果が得られた。 OCT装置の開発は、予定よりやや遅れているため、まず光計測による脳深部温度評価のための基礎実験を中心におこなった。その結果、脳温度イメージングの結果が、単に血流変化によるものではなく、代謝による変化である可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
OCT装置の開発が予定よりやや遅れている。今年度は引き続きOCTの開発を進めていく。OCT信号と温度の関係について、基礎実験を中心に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
装置開発が予定よりやや遅れており、次年度に必要な物品購入費を確保するため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は光学実験系を構築していく予定である。したがって生じた差額は必要な物品購入費に充てたいと考えている。また一部は成果報告のための出張旅費に充てたいと考えている。
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