研究課題/領域番号 |
15K21088
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
菅原 祥 京都産業大学, 現代社会学部, 講師 (80739409)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポーランド / 社会主義 / ノスタルジア / 文化遺産 / 近代化 / ノヴァ・フータ / ティヒ / 団地 |
研究実績の概要 |
今年度行った研究実績としては、まず8月31日~9月10日までポーランドで行った現地調査が挙げられる。この調査では、ポーランドにおける社会主義的近代化の記憶と地域コミュニティに関する研究の補充的な文献収集およびフィールドワーク、インタビュー調査を行い、一定の収穫を得ることができた。具体的には、ヤギェウォ大学図書館にてノヴァ・フータ地区建設、ティヒ市建設、および戦後ポーランドの近代化全般に関する文献を閲覧・複写を行ったことや、ノヴァ・フータ博物館を訪問し、地元の歴史学者にインタビューを行ったことなどが、主な活動内容である。 また、今年度は、自分の研究テーマと関連する研究を行っている社会学やその他の研究領域の研究者と活発な交流を行った。例えば7月と1月には、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターのプロジェクト型共同研究「社会主義の記憶とノスタルジア:旧ソ連・東欧・中国・ベトナムの比較から」の研究会に参加し(1月の研究会では発表も行った)、フィールドや研究領域の異なるさまざまな研究者と有意義な意見交換を行うことができた。また、昨年度から引き続き、文化遺産研究を行っている日本の社会学研究者の研究会にメンバーとして参加し、自らの研究を「文化遺産研究」の一環に位置付けるためのヒントを得た。 さらに本年度は、本科研費の研究課題に関連する内容も一部盛り込んだ単著の執筆作業も行った。この単著は翌年度に出版予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は他大学への転勤をはじめとして、研究課題採択当時には予想のつかなかった事態が多く発生し、実際に海外調査は夏と春に長期間のものを予定していたのが、夏に短期間だけ行くのが精いっぱいであった。また、研究業績も予定していたペースで発表することができなかった。また、(これは「遅れ」ではないが)研究を進めていく中で、当初はポーランドと日本の近代化の記憶の比較ということを考えていたが、徐々に「文化遺産」というキーワードを軸とした方向へと変わっていったため、当初予定していた活動を必ずしも行わなかった部分もある。以上のような事情から、「やや遅れている」と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
まず、平成29年度までだった研究期間を1年延長した。この延長した期間で、前年度に十分にできなかった調査・研究を行う予定である。国外での調査については、前年度に短期間しか行けなかった分、やや長めの調査を行うことを検討している。また、国内での調査研究について、当初は本格的なフィールド調査を行う予定であったが、これまでの研究状況の遅れに鑑み、「文化遺産」や「ノスタルジア」をキーワードとしたより全般的な観点から研究を行う方向に研究を変更するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は転勤等の都合で当初計画していた海外調査・国内調査等の研究活動を十全に行えなかった。このため、科研費の期間を延長し、平成30年度に当初予定していた調査研究を、一部の計画や内容を変更した形で行う予定である。
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