研究課題/領域番号 |
15K21090
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山科 千里 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (00637621)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シロアリ塚 / モパネウッドランド / ミオンボ林 / 植物の機能的多様性 |
研究実績の概要 |
本年度は、平成27年度に行ったナミビアおよびマラウィにおける現地調査の結果を踏まえ、土壌や植物特性についての分析を進めた。分析の結果、ナミビアにおけるシロアリ塚内外に生育する植物の機能特性が明らかになってきた。本調査地においてシロアリ塚上には、周辺サバンナと比較して、多種の木本が高密度で生育し、さらに植物の機能的特性についてもシロアリ塚上では多様性が増加する傾向がみられた。また、機能的多様性について詳細にみていくと、シロアリ塚上では、植物の散布にかかわる特性に特徴がみられた。特に、シロアリ塚上では、動物(鳥を含む)によって種子が散布される木本の特性が顕著に出現した一方で、周辺サバンナでは種子が風によって散布される植物の特性が特徴的にみられた。 また、平成27年度のマラウィにおける現地調査結果の分析を行ったところ、マラウィ北部のミオンボ林においては、シロアリ塚は木本の多様性を生み出すパッチとして機能しているが、木本の生育密度はシロアリ塚と周辺のミオンボ林で差がなかった。また、マラウィにおいては、長期間の人為的攪乱による木本種の機能的特性の変化についても調査を行っており、現在、結果を分析中である。 これらの結果は、2017年の日本生態学会(3月16日)において、成果発表を行い、現在、投稿論文として執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、所属の異動などにより、現地調査の機会を設けることができなかった。その点で、新たなデータの収集はできなかったが、平成27年度の現地調査結果の分析を進め、成果につながっている点で概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度にあたる平成29年度は、これまでの研究計画で足りない部分の調査・研究を積極的に進める予定である。さらに、研究成果をまとめ、論文として出版すること、および学会発表も積極的に取り組んでいく。 本研究課題についての計画の中で、最も不足している点は、1.調査計画の中で目的1)としたシロアリ塚植生の形成過程における種子散布および定着過程に関する調査である。これは、ナミビアにおける集中的な調査が必要となるため、今年度の雨季(12月~1月)に現地調査を実施する予定である。また、2.シロアリ塚が動物にとってのHotspotとなるか(目的2)および、3.シロアリ塚植生の地域差を決定する要因(目的3)に関しては、2.についてはシロアリ塚への訪問動物の種、頻度及び行動について調査が終了しているため、周辺サバンナにおける同様の調査を追加調査として行う。これは、上記のナミビアにおける雨季の調査時期に同時に行うことが可能である。また、3.については、平成27年度と同様のマラウィを含めた広域調査が行う予定であり、本年度の2~3月に実施予定である。
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