本研究の目的は移民ガバナンスが二国間、地域レベル、グローバルレベルにおいて多層化している状況に着目し、そのメカニズムを体系的かつ理論的観点から分析することである。本研究の結果、従来移民ガバナンスにおいては移民の「受入国」が主導権をもつと考えられていたのに対し、移民の移動経路の多様化によって、「経由国」と呼ばれる「送出国」と「受入国」双方の性質を兼ね備えた国が登場したことにより、「経由国」がガバナンス形成において一定の発言力を有するようになったこと、さらに「経由国」と「受入国」の対話の場としての「地域間主義」が移民ガバナンスにおいて台頭していることが明らかになった。
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