平成28年度は、「バリューチェーン」アプローチによる、再生可能エネルギーによってもたらされる定量評価モデルの経済学的理論分析、および、その手法の特性および適応手法分析を行った。その成果は下記に掲載されたとおりである。 1.中山琢夫「再生可能エネルギーで山間地域に所得1%を取り戻せるか?-小水力発電と木質バイオマスの薪利用を中心に」『財政と公共政策』(財政学研究会)第60巻、2016年10月、3-17ページ(査読有・招待有) 2.中山琢夫・Raupach Sumiya Joerg・諸富徹「分散型再生可能エネルギーによる地域付加価値創造分析-日本における電源毎の比較分析」『環境と公害』(岩波書店)第45巻第4号、20-26ページ、2016年4月(査読有) 3.中山琢夫・Raupach Sumiya Joerg・諸富徹「日本における再生可能エネルギーの地域付加価値創造-日本版地域付加価値創造分析モデルの紹介、検証、その適用-」『サステイナビリティ研究』(法政大学)第6巻、101-115ページ、2016年3月(査読有) 1.においては、山間地域における小水力発電、木質バイオマスの熱利用について、高知県仁淀川町および仁淀川流域における取り組みを取り上げ、こうした事業によって、地域に所得を取り戻せる可能性を検証した。2.においては、ドイツのIoeWが開発した、再生可能エネルギーによる地域付加価値創造分析手法を応用し、日本において、入手可能な範囲の標準的なデータを用いながら、分散型再生可能エネルギーの電源毎の地域付加価値創造額を試算し、その構成比を比較分析した。3.では、「エネルギー自治」の地域経済効果、とりわけ付加価値を定量評価するものとして、ドイツで開発され、すでに実用化されている地域付加価値創造分析の日本版にアレンジし、この分析モデルの特性を実際のケーススタディを通じて検証した。
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