研究課題
今年度は9月7日から9月11日にかけてウィーン大学で開催された第11回国際狩猟採取民会議(CHAGS 11)に参加し、カメルーン共和国熱帯雨林地域に暮らすピグミー系狩猟採集民の身体障害者に関する研究成果を「People with Disabilities Crossing the Boundary between Hunter Gatherer and Agricultural Societies」という題で口頭発表をおこなった。9月26日には、国立民族学博物館で開催した国際シンポジウムにおいて、カメルーン共和国熱帯雨林地域に暮らす身体障害者のライフコースを、ミッショナリーによる慈善活動や社会福祉政策の変遷と関連づけて分析した研究成果を発表した。そのほかに、京都大学や日本貿易振興機構(JETORO)での研究講演、および国内学会や研究集会での研究報告など、研究成果の発信に力を注いだ。さらに2016年2月17日から3月5日までの18日間、コンゴ共和国のブラザヴイル市において、コンゴ川における障害者の国境ビジネスに関する現地調査をおこなった。本調査では特に、2014年にブラザヴイル市警察当局が実施した治安維持のためのオベレーションによって河港で引き起こった変化に着目し、国家の統制や規制の強化が障害者の生計活動や社会関係に与えた影響について、2014年11月に実施した現地調査や現地メディアなどの資料と比較しながら検討しなおしている。これらの成果の一部を、論文「国境をまたぐ障害者―コンゴ川の障害者ビジネスと国家」にまとめ、森壮也編『アフリカの「障害と開発」―SDGsに向けて』日本貿易振興機構アジア経済研究所(研究双書No.622)に上梓した。
2: おおむね順調に進展している
カメルーン共和国およびコンゴ共和国での現地調査においては、本研究を進める上で必要な知見を得ることが出来た。ただし今年度実施する予定であったカメルーン北部のイスラーム地域における現地調査は、当該地域の治安の悪化にともない取り止めた。他方で、本研究に関連する論文が掲載されたことや、国際会議で研究報告を実施したことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
今年度実施できなかったイスラーム圏における障害者の生計調査に関して、来年度はアフリカにおけるイスラーム圏のなかで比較的治安のいいセネガルに調査地を見直し、現地調査を遂行できるようにする。また引き続き、国内外の媒体および学会で成果の公開を行う。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
アフリカの「障害と開発」―SDGsに向けて(森壮也編)
巻: 研究双書No.622 ページ: 153-193
PLoS ONE
巻: 11(1) ページ: 1-16
10.1371/journal.pone.0144499
http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/organization/staff/toda/index
https://sites.google.com/site/casinkyoto/home