研究課題/領域番号 |
15K21103
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
中井 隆介 中部大学, 生命健康科学部, 助教 (10576234)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MRI / functional MRI / 顎関節症 / 顎運動 / 応力解析 |
研究実績の概要 |
京都大学再生医科学研究所のMRI装置(Siemens社製 MAGNETOM Sonata 1.5T)を用いて、MRIにおける高解像度で早い動きに対応した顎運動撮像の最適なパラメータの検討や撮像法のシーケンス開発を、ファントムおよび被験者撮像を元に実施し、パラメータを確定した。画像処理ソフトウェアの開発については、顎運動軌跡を元に、3次元で顎運動を再現するソフトウェアを開発した。またこれらの顎運動軌跡の情報やMRIデータ、CTデータを元に、顎関節部の3次元有限要素法シミュレーションモデルを関節円板の転位状態によって複数作成し、応力解析を行う事で、顎関節疾患の主要因である関節円板の転位(前方転位、後方転位)と変性が、顎運動初期の顎関節部周囲の相当応力を高くし、障害に繋がる可能性があることを明らかとした。 脳機能撮像研究では、京都大学こころの未来研究センターのMRI装置(Siemens社製 MAGNETOM Verio 3.0T)および32ch Head coilを用いて、正常被験者および顎関節に軽度の異常が認められる被験者を対象として脳機能撮像実験および高解像度構造撮像実験を実施した。脳機能撮像では、GE-EPIシーケンスを用いて実験を実施した。得られたデータはMATLAB上で動作するSPMやREST toolboxを用いて解析を行った。複数のタスクでの実験およびresting-state fMRI実験を実施し、被験者群間での差異について比較検討を実施した。結果として両群間において差異が見られ、精神疾患等と繋がる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は顎関節部の3次元有限要素法シミュレーションモデルを構築し、関節円板の転位状況を変化させて有限要素法応力解析を行う事で、関節円板の転位による応力への影響を明らかとした。また、脳機能撮像研究についても被験者や解析項目を増やしながら、研究を進めており、顎関節症の影響が明らかとなってきている。さらにソフトウェアの開発も順調に進行している。どの項目でも成果が出ており、現在のところ順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
撮像法の改良については、現在進めている撮像法のシーケンス開発を引き続き実施していき、開発を完了させていく予定である。また、画像処理法の開発や新しい解析ソフトウェアの開発も同時に進めていく。脳機能撮像研究については、さらに被験者数を増やし、研究成果として確実なものにしていく予定である。平成29年度は、脳機能に加え、Diffusion Tensor Imagingの解析を用い、脳神経線維の状態についても分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では、初年度に有限要素法解析ソフトウェアを一括で購入するようになっていたが、単年度ごとの利用費の支払いに切り替えたため、次年度使用額が発生した。また海外出張を次年度に変更したため差額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、平成29年度の有限要素法解析ソフトウェアの利用料および海外出張費として使用する予定である。
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