本研究では優れたイオン伝導性を示す Li2S-GeS2-P2S5 系超イオン伝導体を研究対象とし、ガラスから結晶への構造変化とイオン伝導性との関連を中性子とX線を相補的に用いた構造解析によって明らかにすることを目的とした。高純度の不活性ガス雰囲気下でのメカニカルミリング処理によって、Li2S-GeS2-P2S5 系についてLi10GeP2S12の組成てガラス試料の合成に成功し、550°Cでの熱処理によって、Li10GeP2S12結晶を得ることに成功した。 得られたガラスおよび結晶試料について、高輝度放射光施設SPring-8および大強度陽子加速器施設J-PARC/MLFにおいて取得した放射光X線回折および中性子回折データを用いて結晶試料についてはRietveld解析を、ガラス試料については二体分布関数解析を行い、それらによって得られた構造情報を基に逆モンテカルロ法によってガラスおよび結晶の3次元構造モデルの構築を行った。そして、得られたガラスと結晶の3次元構造モデルを詳細に比較した結果、結晶においてLiイオンの伝導に適した伝導経路が形成されていることを明らかにできた。
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