超高真空中で9-350 Kの広い温度範囲で電気伝導度の測定が可能な4端子プローブを用いて、金属超薄膜の電気伝導に対する吸着子の効果を調べた。2原子層厚のIn超薄膜に鉄フタロシアニン分子を吸着させると、抵抗率が増加するだけでなく、温度変化の係数が小さくなることが分かった。In超薄膜の電子状態に変化は見られなかったことから、この結果はIn超薄膜における電子格子結合の変化を示唆している。また、大きなラシュバ型スピン分裂を示すPb単原子層について遷移金属原子(NiおよびCo)の吸着の効果を調べた。残留抵抗は増加したが、今回測定した9-80 Kの範囲では近藤効果は確認されなかった。
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