前立腺癌は本邦において、この20年間に全悪性新生物の中で最も死亡数が増加した癌腫である。進行性前立腺癌に対しては抗アンドロゲン療法が標準治療として施行されているが、アンドロゲン受容体(AR)のスプライシングバリアントの一つである AR-V7が高発現している症例では、Abirateroneなどの新規薬剤に対して治療抵抗性を示し、これが新たな問題となっている。AR-V7 の発現制御機構は 不明な点が多い。本研究ではLNCaP 細胞より新規に樹立を行ったCRPC 細胞株を用いて AR-V7過剰発現によるCRPC内の制御機構の解明を目的としている。 本年度は、in vivoでの限局性前立腺がん組織とCRPCを含む公開マイクロアレイデータを用いてCRPCで発現変動する遺伝子の抽出し機能解析を行った。また、変動遺伝子間の因果関係を推定するため、ネットワーク解析を行った。さらに、AR-V7高発現AR抵抗性LNCaP細胞株を用いて、AR-V7によって制御されている遺伝子群とそれら遺伝子群の転写開始点を明らかにするため、CAGE(Cap Analysis of Gene Expression)解析を行った。
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