研究課題
ダイヤモンドライクカーボン(DLC膜)をはじめとするドライコーティング膜の新たな強度評価法として,球圧子を被覆基板表面にある一定の速度で繰返し押付ける,繰返し押付け試験法を考案した.インバータモータを駆動源として,この試験法を実現する繰返し押付け試験機を開発,製作した.試験法の妥当性を確認するため,DLC膜を実験に供した.DLC膜の生成にはUBMスパッタ法を用いて,基板バイアス電圧を0から-300Vまで変えて形成したDLC膜を実験に供した.基板は浸炭焼入れ・焼戻し処理を施しラッピングしたSCM415である.球圧子材料は窒化ケイ素である.ヘルツ面圧約2.6GPa,毎分120回の繰返し押付けにより,10000回の押付け回数以上でDLC膜ははく離し,基板の露出を確認した.繰返し押付けて生じた圧痕内部に対してラマン分光分析を行い,生じたDLC膜の変質について調査した.ラマン分光分析で得たスペクトルをDバンド,Gバンドに分解し,それぞれの強度比のID/IGを用いてDLC膜の変質について検討した.その結果,圧痕中心付近から離れるに従いID/IGが小さくなる傾向が認められた.このことから,DLC膜は球圧子の押付けにより,圧痕内側ではDLC膜のsp2結合領域が増大しており,このはく離への影響を示唆する結果を得た.一方,現状では未だDLC膜の密着性が不十分なため必要ないが,10の7乗回もの押付け回数を超えても損傷しないようなDLC膜が開発された場合に,インバータモータを駆動源とした試験機では試験完了までに時間を要することになる.このことから,ランジュバン型超音波振動子を用いたさらに高速で球の繰返し押付けが可能な試験機を考案し,設計,製作,試運転を行い,種々のトラブルに対する対処を行った.この試験によって,DLC膜がインバータモータを用いた試験と同様にはく離することを確認した.
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Proceedings of The JSME International Conference on Motion and Power Transmissions
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