研究課題/領域番号 |
15K21123
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
矢嶋 光 名城大学, 法学部, 助教 (30738571)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本政治外交史 / 戦前 / 外務省 / キャリアパス |
研究実績の概要 |
本研究は、戦前の外交官のキャリアパスを分析することを通じて外務省内の派閥対立と政策対立を実証することを目的としている。 この目的を達成するために、平成27年度は、外交官の人事記録を収集することを第一に史料収集をおこなった。人事記録に関しては、高等官以上の本省および在外公館の勤務履歴を収集し、順次エクセルファイルに入力してデータベース化を進めている。その完成については平成28年度の半ばを予定している。また同時に、外交官の個人文書の収集にも努めた。そのなかで特に大きな成果は、元外交官で占領期には終戦連絡地方事務局連絡官・横浜事務局長を務めた鈴木九萬氏のご遺族から、その日記を閲覧させていただくことができたことである。今回の調査で確認できた日記は40冊(1948年1月1日から1960年7月3日までのほぼ全期間)で戦前のものは見当たらなかったが、今後も継続して戦前の記録が残っていないか調査をつづける予定である。なお、鈴木氏のご遺族との面会に当たっては、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センターの内海愛子先生、産経新聞社の渡辺浩生氏のご協力を得た。このほかに平成27年度の成果としては、論説「芦田均と『ジャパン・タイムズ』」を本務校の紀要に執筆したことがある。『ジャパン・タイムズ』は1897年に創刊された英字新聞社で日本の対外宣伝紙として知られてきたが、今回の調査のなかで実際に1920年代以降には外交官経験者が同紙の要職に就任するキャリアパスが確立されていたことがわかった。そこで同論説では、元外交官である芦田が『ジャパン・タイムズ』紙の社長に就任する経緯と同紙における彼の活動を分析し、1930年代における外務省の宣伝活動の実態を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において最も重要となる外交官の人事記録について、その収集の目処がついたため、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、第一に外交官の人事記録を分析するためにデータベース化を完成させること、第二にひきつづき外交官の個人文書の収集にも力を入れることである。また平成28年度においては、これらの収集した記録や史料をもとにキャリアパスの分析を進める。あわせて、そこで明らかになった外交官のキャリアパスの特徴と従来の研究が明らかにしてきた外務省内の派閥対立との関係についても検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも資料の複写費がかからなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に生じた次年度使用額については、平成28年度における資料調査の旅費、及び資料の複写費に使用する。
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