本研究の目的は、外交官のキャリアパスを分析することを通じて、戦前日本外務省における政策対立と派閥対立の関係を明らかにすることであった。この目的を達成するために、連盟外交をめぐる本省と国際連盟帝国事務局との対立に焦点を当てて、省内の人事を分析した。その結果、帝国事務局に勤務した外交官は特定のキャリアパターンを辿ったこと、そのパターンは本省の幹部にまで昇進した同僚たちのそれとは異なることが判明した。このことから、キャリアパスの違いが異なる政策志向を生み、さらに派閥を生みだしたこと、また戦前外務省には「連盟派」と分類されるべき政策派閥が存在したこと、が示唆された。
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