研究課題/領域番号 |
15K21128
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀崎 遼一 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (20598958)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光計測 / 位相イメージング |
研究実績の概要 |
光波の強度だけでないく位相を含めた複素振幅情報を計測することは,あらゆる分野で重要である.特に生体細胞は光吸収を伴わない透明な試料が多く位相情報の取得は重要である.本研究では従来の位相イメージングでは不可能だった筐体の簡素化と小型化に取り組んでいる.当該年度では実機による原理確認と周辺技術の確立に注力した. 原理確認では,空間光変調器と生体細胞を模倣した透明試料を用いて実験を行い,当初の狙い通り良好な結果を得た.またイメージング性能の解析を行い,実装したシステムで理論的導出される上限の性能が達成されていることを確認した.これらの成果を二編の論文にまとめOptics Express誌で発表した. さらに,周辺技術の確立では,本手法の重要な課題であるアライメント法に取り組んだ.アルゴリズムを新たに構築することで,空間光変調器やマスクパターンが固定化されている符号化開口に関しても提案手法が適用可能になった.また,再構成アルゴリズムの改善も行った.その結果,既存アルゴリズムでは光エネルギーの四分の三が犠牲になっていたが,この損失を完全に無くすことに成功した.これは生体試料に対する光侵襲性が大幅に低減されることを意味する.また,試料とイメージセンサ間の変調だけでなく,変調を照明光へも拡張した.この場合も光損失を完全に無くした光利用効率の高い位相イメージングが可能となる.また実装形態の選択肢が増えるため,提案手法の実用化に向けた大きな前進となる.これらの成果を二編の論文にまとめApplied Optics誌とOptics Express誌でそれぞれを発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原理確認により提案手法の有効性が確認できた.また提案手法の実用化に向けた周辺技術の開発が進んだ.これらの成果を四編の論文まとめ,国際学術誌で発表した.以上の点から順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は生体計測のデモンストレーションを行う.バイオ分野の研究者の協力を仰ぎ,医学的にインパクトの生体試料の計測を行う.また光学系の作り込みを行い,筐体の小型化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
他の実験と光学機器が共有でき,光学機器の新規購入費用を抑えることができたため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究に関してはおおむね順調に進んでいる.生じた次年度使用予算をもとに別の実験装置を購入し研究開発のさらなる推進を図る.
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