社会人の約半数が学び直しのニーズを持っているといわれています。こうした生涯を通じた学びに対するニーズを満たす方法の1つとしてe-Learningが注目されており、学びのセーフティネットといわれる大学も、無料で利用できる教材(オープン教材)を数多く提供しています。 しかし、このように確かなニーズとシーズがあるにもかかわらず、オープン教材を利用したことがある社会人は5%にとどまります。「どうにかして社会のニーズと大学のシーズをつなぐことはできないだろうか」というのが、本研究の基本的な問題意識です。 つなぐヒントを得るために、オープン教材を利用しない理由を見てみると「興味が無い」「時間が無い」「難しそう」が上位になっています。興味についてはユーザーの具体像の把握、時間や難易度については編集や提供方法などで改善できる可能性があります。 そこで、平成27年度は「目的1.オープン教材を利用する新しいユーザー像と、その利用法を具体的に描く」を中心に進めました。そして平成28年は、その成果に基づいて「目的2.市民視点に立ってオープン教材の収集・分類・統合を行い、それに適した教材提供サイトを試作する」を行いました。 具体的には、年齢(40-50代と60代)と性別を変えて、グループインタビューを実施し、改めて各ライフステージにおける学習ニーズを尋ねるとともに、試作サイトに関するコメントを頂きました。その結果、サイトの設計に当たっては、「1.ユーザー像の年齢や性別を設定することのデメリット」、「2.学びのストーリーを表すイメージとキャッチコピーの洗練」、「3.ライフイベントに沿った学習内容の整理」「4.移ろいやすい学習ニーズの捕捉と関連付け」、「5.社会の動きに合わせた速報性」が期待されていることがわかりました。
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