健康長寿を達成するためには,咬合や咀嚼機能がきわめて重要な役割を果たしていると推察される.本研究は,平均約65歳の高齢者を対象に10年間のコホート研究を行い,補綴治療やメンテナンスの有無が歯や口腔機能,QOLならびに全身の健康に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした. 研究参加への同意が得られた475名について調査した.10年間で約68%の人が,少なくとも1本歯を失っており,咀嚼能率は有意に減少した.義歯の使用割合は,上下とも10年間で約10%ずつ増加した.メンテンナンスの受診率は67.4%であった.また,定期検診を受けている者は,10年後の咀嚼能率が有意に高いことが明らかとなった.
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