研究課題/領域番号 |
15K21146
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
甲田 将章 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80590843)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 術中MRI / 術中MRS / 神経膠腫 |
研究実績の概要 |
本研究は、ブレインシフトの影響を完全に排除した術中MRスペクトロスコピー(MRS)の手法を使用し、術中MRS画像と摘出組織の比較から術中MRSの精度を検証し、その臨床的有用性を確立することを目的としている。神経膠腫症例を対象として研究をすすめている。 術中MRI装置はMAGNETOM Skyra(Siemens)、ナビゲーションシステムはCurve CM(Brainlab)、画像統合システムはBUZZ・iPlan Net(Brainlab)を使用した。神経膠腫手術症例では、腫瘍摘出中または腫瘍摘出後に術中MRIを撮像しているが、その際、FLAIR高信号を呈する部位の残存、あるいは造影効果を認める部位の残存など、病変の残存がうたがわれる場合、術中MRSを追加しておこなった。術中MRSの関心領域はsingle voxelで設定し、voxel size:15mm × 15mm × 15mmとした。術中MRS撮像後、ナビゲーション上に術中MRS関心領域を描写し、同部位の組織を正確に摘出して、病理組織学的検討をおこなった。 2015年度、術中MRIを用いた神経膠腫手術症例は26例であり、そのうち、術中MRSによる解析が可能であったのは8症例12検体であった。摘出した組織のMIB-1が1%以上(A群(tumor positive))および1%未満(B群(tumor negative))で2群に分け、両群間で術中MRS Cho/NAA比を計測したところ、A群ではB群より高い傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初は、術中MRS撮像時の条件設定に時間を費やした。関心領域が不均質である、関心領域がMRI装置の中央から離れているなど、術中MRSの撮像が困難な条件が確認されたが、対象となる症例は順調に増えている
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今後の研究の推進方策 |
LC modelを用いて術中MRS画像の解析をおこない、IDH変異に関連した代謝産物である2-HGを計測する。一方で、術中MRS関心領域を、ナビゲーションを用いた手術で正確に摘出し、ガスクロマトグラフィー/質量分析計(GS/MS)を使用して組織内の2-HG代謝物量を調べる。両者を比較検討し、術中MRSの精度を検証し、臨床的有用性について考察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より検体数が少なく、ガスクロマトグラフィー/質量分析計(GS/MS)を用いた代謝産物に関する検討がおこなえなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
術中MRS関心領域を、ナビゲーションを用いた手術で正確に摘出し、ガスクロマトグラフィー/質量分析計(GS/MS)を使用して組織内の2-HG代謝物量を調べ、術中MRS所見との比較検討をおこなう。
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