研究課題
神経膠腫症例を対象とし、術中MRスペクトロスコピー (MRS)を用いて、残存病変の評価が可能かどうかについて検討をすすめてきた。術中MRI装置はMAGNETOM Skyra (Siemens)、術中撮像用コイルはOR Head Holder and Coils (Noras)、ナビゲーションシステムはCurve CM (Brainlab)、画像統合システムはBUZZ・iPlan Net (Brainlab)を使用した。神経膠腫症例では、腫瘍摘出中または腫瘍摘出後に術中MRIによる評価をおこなうことがあり、その際、FLAIR高信号を呈する部位の残存、あるいは造影効果を認める部位の残存など、病変の残存が疑われる場合、術中MRSを追加した。術中MRSの関心領域はsingle voxelで設定し、voxel sizeは15mm × 15mm × 15mmとした。術中MRS撮像後、ナビゲーションを用いて術中MRS関心領域を描出し、同部位の組織を正確に摘出して、病理所見との比較をおこなった。2017年3月までに術中MRIを用いておこなった神経膠腫手術症例は31例であり、そのうち、術中MRSによる解析が可能であったのは、12症例15関心領域であった。12症例の内訳はWHO grade 2が2例、grade 3が2例、grade 4が8例であった。MRSデータはLCModel version 6.3 (Stephen Provencher)を用いて解析したところ、Cho/NAA比は0.68 ± 0.15、Cho/Cr比は0.44 ± 0.06であった。病理組織学的検討により得られたMIB-1は6.1 ± 1.8% (0 - 20.7%)であり、Cho/NAAとの有意な相関がみられた (p=0.047)。術中MRSは、神経膠腫手術において、術中の方針決定の一助になると考えられた。
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