研究課題/領域番号 |
15K21153
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高須 啓之 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40566022)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メラノーマ / メラノプシン |
研究実績の概要 |
本研究課題ではメラノーマ細胞の光受容の可能性および光受容する場合の光照射における挙動(制御できるのか、増殖するのか)についての検討を行っている。BRAF変異のある細胞株(G361)および変異のない細胞株(Mewo)を購入し、いずれもEMEM培地で培養を行い、速やかな増殖が認められた。これらにおけるメラノプシンの発現について検討を行った。その結果、BRAF変異陽性株、陰性株の両方でウェスタンブロッティング法、RTーPCR法、細胞への免疫組織化学法のいずれにおいてもメラノプシンの発現が認められた。また、免疫組織化学法により、メラノプシンのセカンドメッセンジャーとされるGnaqの発現(共発現)の検討を行った結果、いずれの系統の培養細胞においてもメラノプシンとGnaqの共発現が認められた。このことはメラノーマ細胞が特定波長(特にメラノプシンの感受性波長である480nm:青色光)において感受性をもち、光シグナルを細胞内シグナルへと変換している可能性を強く示唆するものである。GPCRのファミリーであるメラノプシンから変換された光シグナルはわれわれがこれまでに得ている知見では非神経系細胞においてはMAP kinase系の活性化が行われることが示されている。一方で、アポトーシスを引き起こす可能性も否定できず、今後、メラノーマ細胞に対して480nmの光を照射し、メラノプシンを端緒とする外的シグナル入力が細胞の挙動に対してどのような影響を及ぼすか、さらに検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メラノーマ細胞におけるメラノプシンの発現およびセカンドメッセンジャーであるGnaqの共発現の確認が行われており、概ね、実験計画通りに遂行された。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムアッセイを用いて、特定波長光を照射することでカルシウムの取り込みを行うのか(つまり、細胞内シグナルとして変換されているのか)についての検討を行う。また、近年、メラノーマにおいてGnaq(これはメラノプシンの直接的セカンドメッセンジャー)の変異がメラノーマの遠隔転移に影響を及ぼしていることが示されており、現在、われわれが入手している細胞株におけるGnaqの変異について塩基配列の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ残額なく、誤差範囲と考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬の購入などに使用する。
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