研究課題
トランス脂肪酸は動脈硬化性疾患の発症を増加させる。その原因は血中コレステロール環境の悪化以外にも直接的な血管壁や血小板への炎症惹起作用等がある。それゆえ、トランス脂肪酸は深部静脈血栓症(DVT)にも影響すると推測されるが、その実態は不明である。そこで、次にあげる目的ために基礎臨床融合研究を行なう。 動物実験(DVTモデルマウス)と細胞実験を通して、各種の脂肪酸投与がDVTの発症進展に及ぼす影響、分子機序を明らかにする#1-1: 経口トランス脂肪酸投与による血中トランス脂肪酸濃度の上昇の確認。野生型C57BL/6 マウスにトランス脂肪酸(エライジン酸, 総カロリーの5%)を4 週間負荷する。質量分析を用いて血中エライジン酸濃度を測定し、経口負荷により血中濃度が上昇していることを確認できた。#1-2: 各種脂肪酸投与後4週でDVTを作成し、DVTサイズを比較検討する。DVTは下大静脈結紮モデル(野生型C57BL/6マウスを麻酔下に開腹し、下大静脈を露出、肝静脈との合流部の直下において6-0ナイロン糸を用いて結紮する)を用いて作成する。DVT作成後7日後に安楽死させ、DVTを摘出する。DVTサイズはゴールド・スタンダードな評価項目であるmg/cm(重量を長径で補正したもの)を用いて比較検討する。エライジン酸投与によるDVTサイズの変化をコントロールをオレイン酸として、比較検討した。エライジン酸群でオス10匹、メス10匹、オレイン酸群も同様にオス10匹、メス10匹に下大静脈結紮術を施行した。オス群では残念ながら周術期に各3匹死亡、メス群では各1匹死亡した。オス、メス合計の6匹づつでの統計比較では両群間に差は認めなかった。しかし、オス群だけを検討するとN=2しか残らなかったが、エライジン酸群で血栓サイズが上昇する傾向があった。
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