研究課題/領域番号 |
15K21158
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山崎 尚志 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30403223)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リスクマネジメント / 損害保険 / 自然災害 / 企業価値 |
研究実績の概要 |
本研究では,自然災害によって引き起こされるカタストロフィと保険会社の関係を主眼に置き,(1)災害のどういった要素が保険会社の企業価値に影響を及ぼすのか,および(2)保険会社の特性によって,同じ災害であっても保険会社間への影響は異なるのか,といった点の解明を目的としている。 今年度は,台風と日本の損害保険会社の株価との関係に着目し,分析を行った。1979年から2013年に日本列島に上陸した93の台風について調査した結果,以下のことが判明した。 まず,台風の上陸前後において損保株の調整後リターンが有意にプラスの反応を示した点である。これは保険会社が台風上陸によって発生する将来の潜在的な保険需要から利得を得ているという仮説と整合的な結果となっている。 一方で,株価の変動の大きさは,当該損保の財務特性や上陸台風の特徴に応じて異なることを示した。すなわち,市場は,自然災害発生時において,損保会社の財務状態や自然災害がもたらす社会的影響を総合的に判断して取引を行っており,このことが自然災害と保険株に関する従来の先行研究において互いに相反する実証結果をもたらした要因であることが明らかとなった。 また,検証期間全体では保険の財務健全性を示す指標が自然災害発生後の株価にあまり影響を及ぼさなかったことに対し,直近10年間に限定すると財務健全性に対してより強い反応を示していた。つまり,このことは,保険会社の安定経営を保証していた強固な保険規制が90年代以降急速に緩和されたことにより保険市場の競争環境が激化するようになったという事実を裏付けている。一方で,保険会社特有の健全性指標であるソルベンシー・マージンは直近10年間でも依然として機能していないように思われ,わが国におけるソルベンシー・マージンの有効性への示唆を与えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に挙げている台風と損害保険会社の株価に関する研究について,「Do typhoons cause turbulence in property-liability insurers’ stock prices?」というタイトルで研究論文を作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後もカタストロフィと保険会社の関係を主眼においた研究をより深め,学会報告,論文作成,論文投稿といった形で研究実績を積み上げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
保険データ収集調査が翌年度にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
保険データ収集調査のための出張費に使用する。
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