本研究の目的は,自然災害によって引き起こされるカタストロフィと保険会社の関係を主眼に置き,(1)災害のどういった要素が保険会社の企業価値に影響を及ぼすのか,(2)保険会社の特性によって,同じ災害であっても保険会社間への影響は異なるのか,を解明することにあった。 本研究の成果として,これらの問いについて以下の結果が示された。(1)自然災害の発生は保険会社に利得をもたらし,その企業価値を増大させる可能性がある。一方で,巨大災害については企業価値を減少させる。(2)保険会社の財務健全性は,災害発生時における企業価値への影響に変化をもたらす。その効果は保険業界の規制緩和後において顕著に見られる。
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